グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ 2013年09月11日

届いた。
“届いた。” photo by akira kawamura

しばらく前に知り合いに日本からハンドキャリーしてもらった本。こいつはまだkindle版が出てないので紙の本を裁断、スキャンした。紙の本の装丁がかなり綺麗に作ってある本だったので解体する時にはちょっと躊躇したが。。

インターネット全盛、googleの検索エンジンとfacebook、twitterに代表されるSNS、音楽のデジタル化、オンライン化でいままでの音楽業界の稼ぎ方ではニッチもサッチもいかない状態になっておりますが、今のインターネットでのシェアの概念やフリーミアムの実践、コミュニティやトライブの築き方などを数十年前から実践していたバンドがある、それがGrateful Deadだ!ってな内容になります。ざっくり言うと。

確かに読んでいると今のインターネットの概念に非常にマッチするやり方をしているんだけども、デッドもカウンターカルチャー、ヒッピー、コミューンの中から生まれてきたバンドで、アメリカの音楽ビジネスの慣習にまったく従わずそのコミューン思想全開で音源のフリー録音化、シェア概念を実践、同じくカウンターカルチャー、ヒッピー思想を元に生まれたインターネットやコンピュータもフリーやシェアを前提に発展してきたんだから源流一緒で親和性が高いのは当然か?

大学の時からデッドの名前は知っていたが、ライブ前提のカントリーをベースにしたインプロ中心の音楽にずーっと入り込めずにいた。大学生ぐらいの時ってもっとトリッキーな音楽を好んでいたな。最近になって少し馴染んで来たものの、やはりまだまだハマり度は低いかな。

でも音楽それ自体にとどまらず、デッドヘッズのコミュニティやライブの現場での楽しみ方とかが合間ってあれだけの人気が出てるのだろうな。こういった内容を大学生の時などにしていればもう少しデッドを聞く人生だったかもしれないな。まあ、でも日本では中々その良さが紹介し辛いバンドなのかもしれんね。日本のレコード会社と二人三脚でやってきた音楽雑誌なんかもデッドみたいなレコード会社がプッシュし辛いアーティストはそれこそ紹介しづらいんじゃないかな。

でも別にデッド好きでなくとも音楽好きで、インターネットも詳しいという人なら十分に読んでいて楽しい本だと思います。

レイヤー化する世界 ー テクノロジーとの共犯関係が始まる 2013年07月06日

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佐々木俊尚氏の今年の新刊。またまたKindleで購入。649円。

数年前から佐々木さんの本は大体は目を通している。それだけでなく、メルマガも購読していて結構どっぷりとこの人の文章に浸かっているような状態ではあります。自分の職業にもしてるしコンピュータやネットワークの技術でこれからちょっと先の未来がどのように変わっていくのかを夢想するのが基本的に好きなので。。。

今回の「レイヤー化する世界」はパソコン、インターネット誕生前の企業や国家などでまとめられる共同体を前提とした社会での人間の生活から、主にインターネットの力が強いと思うが、そういった物理環境に起因する共同体の垣根がどんどん取り払われて、自分の嗜好や興味、能力などの共通項目で横に横にどんどんつながっていく今のソーシャルな世界をどう生きていけばいいのか??みたいなところがこれまで人類史上で数回起こってきた革命的な技術革新の契機とその社会の変化の仕方を考察しながら述べられている。

岡田斗司夫氏の「評価経済社会」でもそうだったけど、現在のインターネット、ソーシャルの技術革新を情報革命とか第三の産業革命と説明するにあたって大体、世界の中世から近代への産業革命を経た変化を説明していく流れが定番のような気がする。個人的にはインターネット、ソーシャルで変わる世界、というのはいろんなインターネット系メディアやそれこそ佐々木さんのメルマガで断片的には読んでるのである程度読み直し的な感覚もあるが、学生時代世界史が好きだったこともあって、概略的な流れを理解して暗記ばっかしてた高校時代の世界史の知識が、さらに経済や宗教、政治、民族的な視点から見直す、こういう新たな歴史の説明が目新しくて楽しかった。

しかし、佐々木さんの著作も2010年ぐらいまでは 「仕事するのにオフィスはいらない」>ノマド、「キュレーションの時代」>情報キュレーション、「電子書籍の衝撃」>電子書籍、などとデジタル技術の具体例をテーマにしたものから、前作の「当事者の時代」や今回の「レイヤー化する世界」みたいにより高いところから俯瞰した視点の話が多くなってきておりますな。やっぱ回数重ねて行くとより俯瞰へ俯瞰へと動いていくのかね。とりあえず一日程度で読了。ちょうどいいボリュームでした。。

レイヤー化する世界
レイヤー化する世界

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暮らして恋した バンコクごはん タイ料理レシピコレクション 下関崇子 2013年06月23日

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日曜日の青空ヨガの後にスクムヴィット33/1をブラブラしております。その時に東京堂書店で見つけた本。元キックボクサーの下関崇子さんの「バンコクごはん」であります。

古い本かと思っていたが初版2012年12月の本なので全然新しい。この本、レシピの本数がすごい数えるのめんどくさくなるぐらいで、Amazonの紹介文を見ると約150品となっている。確かにそれぐらいはある。載ってる料理が王道のものだけではなく、これだけ点数があるので日本人にはまだあまり馴染みのない料理なども満載。例えば、

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เนื้อแดดเดียว : ヌアデッディァォ : タイ式ビーフジャーキー
หมูยอ : ムーヨー : 豚かまぼこ
แกงเหลือง : ゲーンルアン : 南部のイエローカレー
แกงสายบัว : ゲーンサイブア : 蓮の茎のスープ
ยำปลากระป๋อง : ヤムプラーガポン : 缶詰イワシのヤム
ข้าวยำ : カオヤム : 南部のまぜご飯
ลอดช่องสิงคโปร์ : ロートチョンシンガポール : 実に一言で説明し辛いタイのデザート・ドリンク

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などなど。しかも素晴らしいのは日本でも手に入りやすい食材を使ってレシピを構成してくれていること。タイ料理好きの日本在住の日本人(変な言い方?)にはとても役に立つ本だと思われます。ただし、確かにAmazonの紹介文にある通り、グリーンカレーやトムヤムクンは載ってないのでそういう王道以外のタイ料理を知ってて「またあの味を。。」と恋焦がれている方に最適。それ以外はあまり食ったことないなあ、という人はまず次の大型連休でバンコクに来て食い倒すことから始めましょう。

僕はこの本と、タイ語で検索かけて出てくるタイ語レシピと見比べながらいろいろ作ってみたいと思います。まずは上に書いた奴からかな。

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社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう! 2013年06月11日

Air Vanuatu in Sydney
“Air Vanuatu in Sydney” photo by Simon Clancy

これまたKindleで購入。この人のブログなんかはちょこちょこ見てたけど、初めて書籍を購入。600円ぐらいで安かったのでとりあえず。

【目次】
はじめに
第1章 お金から見える世界
第2章 異国で働く人々
第3章 人生観が変わる場所
第4章 共産主義国への旅
第5章 ビーチリゾートの旅
第6章 世界の美術館
第7章 古代遺跡の旅
第8章 恵まれすぎの南欧諸国
第9章 変貌するアジア
第10章 豊かであるという実感
さいごに 旅をより楽しむために
若者の海外旅行離れについて~あとがきにかえて

この本、著者が1980年代頃から海外旅行でいろいろな国に訪れて見て感じた景色が描かれている。

通貨、労働、政治、リゾート、美術館、遺跡、国、ちょっと併記していくのが難があるかもしれないけど、こういった視点で訪れた各国の
お家事情と過去、現在、そして自分たちの置かれた環境、「日本」をいろいろと考えてみた、というような内容になっております。

個人的には海外旅行ってのは、基本街歩きが好きで、古代遺跡や見どころ、観光地ってのにはそれほど興味がない。やっぱりそういうところって良くも悪くも観光客はお客さんでお金を払う立場でその場に参加しても「客」としてもてはやされて、それ以外の風景ってのは見れずじまいってことが多そうだからというのが理由。それよりかはちょっと離れた傍観者としてただぼさーっと街中を歩きながら

「あー、****って新興の通信会社って書いてあったけど街中ではかなり看板が多いなあ」
「50㎡、12/50 ***Street 4500、どの通りかわからんけど、50平米で家賃こんなもんなんかー」

とその国の生活や経済の片鱗を見ながら歩くのが楽しい。タイに戻ってから可能であればその国の株なんかを買ったりするのも楽しい。なので、この本に書かれているいろんな考え方は結構興味を持って読めた。しかし、この人かなりの数の国に旅行してるねえ。日本の場合行きにくい南米やイースター島とかにも行ってるみたいだし。自分には普通のガイドブックよりも文章に旅情を感じられて久々に海外旅行行きたいなーって気持ちにさせてくれたいい本でした。

個人的にはやっぱりアジアの章あたりで制度としてではなく、人から人への施しなどの習慣を実に日本人らしい「他人にお金を与えるってのが偉そうで見下してるように思われないか」ってな感情と現地の人間が遠慮の欠片もなくチップを求めてくる様に当惑しながら実に生真面目に考えてられるのがやっぱり旅行者としての観点だなあと感じる。これが現地に住みだすととにかく日常でめんどくさい局面が多いのでそういった当惑は通り越して無理くりにでも自分の中で答えを出して迷いなく対処しないと時間がかかっていけない。そういう事を認識できる点でも最初の旅行者の時の自分の気持ちと今生活している自分の気持ちの差異みたいなものも認識できて面白い本でした。んで、僕の場合よほどの事がない限りタンブン(タイ語で「徳を積む」、いわゆる施し)は「基本やらない」なんですが、服をひっぱられようが足を掴まれようが、まとわりつかれようが、目線も合わせず振り払って、場合によっちゃ体当たりで道を開けて過ぎ去る。こんな感じなんで感じ悪い日本人なんでしょうなあ。

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僕がアップルで学んだこと 松井博 2012年10月02日

Apple - Cupertino

最近よくネットで見かける元米アップル本社勤の方のアップル関連本。ブログに書いてある内容が結構おもしろくてちょくちょく見ていて、今回楽天koboでライナップされていたこともあって購入。

「僕がアップルで学んだこと」となっていて、前半戦は筆者がアップルで見てきたこと。後半戦がその環境の中で身に着けてきた処世術というかテクニックというか、社会での生き方が書かれている。

個人的にはもうほぼ十年前からアップル製品は使ってて、スティーブ・ジョブズの本なども数冊は読んでいるのであらかたの事情は知っている上、今海外の会社に居て、否が応にも日本の会社とは異なる社内ルールや不文律に縛られながら仕事をしてる立場としてはそんなに大きな発見はなかったかな、とも思う。

タイの場合は多分、かなりアメリカの会社(アメリカに行ったことないけどね)に近い仕事のやり方が一般的にタイ人のスタッフに浸透しているように思う。レストランに飯食いに行っても、マネージャの教育の悪い店なんかは従業員がまったく客の方向に向いておらずマネージャばかり気にする。そのスタッフの評価をして給料を払ってくれるのがそのマネージャだから、客に愛想よくしてもマネージャからは何の評価もされない。だからスタッフにちゃんとサービスをさせるためには個別にチップをあげることで直接そのスタッフの利益になることをすることなんであります。でも、そのへんをちゃんとマネージャが把握してるところは、ちゃんと接客の教育などをしてると思われる。スタッフの仕事はマネージャ次第なんであります。この本で書かれていた「第5章 上司を味方につける:上司をお得意様と考えよう」という内容はいい例と悪い例の違いはあれど本質的にはこのレストランの件と同じ考えから来てることで「やっぱりそうなんやなあ。。」と思うことしかりでありました。

多分企画自体がスティーブ・ジョブズが亡くなったタイミングで持ち上がったものだろうけど、もう少しいろいろな要素を組み込んで本を作ってたら面白かったんじゃないかと思われます。

ただ、松井さん自身のブログは話のバリエーションも多く面白いですな。個人的にはブログも読んでTwitterもフォローしております。

僕がアップルで学んだこと 環境を整えれば人が変わる、組織が変わる (アスキー新書) 僕がアップルで学んだこと 環境を整えれば人が変わる、組織が変わる (アスキー新書)
松井博

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