レイヤー化する世界 ー テクノロジーとの共犯関係が始まる 2013年07月06日

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佐々木俊尚氏の今年の新刊。またまたKindleで購入。649円。

数年前から佐々木さんの本は大体は目を通している。それだけでなく、メルマガも購読していて結構どっぷりとこの人の文章に浸かっているような状態ではあります。自分の職業にもしてるしコンピュータやネットワークの技術でこれからちょっと先の未来がどのように変わっていくのかを夢想するのが基本的に好きなので。。。

今回の「レイヤー化する世界」はパソコン、インターネット誕生前の企業や国家などでまとめられる共同体を前提とした社会での人間の生活から、主にインターネットの力が強いと思うが、そういった物理環境に起因する共同体の垣根がどんどん取り払われて、自分の嗜好や興味、能力などの共通項目で横に横にどんどんつながっていく今のソーシャルな世界をどう生きていけばいいのか??みたいなところがこれまで人類史上で数回起こってきた革命的な技術革新の契機とその社会の変化の仕方を考察しながら述べられている。

岡田斗司夫氏の「評価経済社会」でもそうだったけど、現在のインターネット、ソーシャルの技術革新を情報革命とか第三の産業革命と説明するにあたって大体、世界の中世から近代への産業革命を経た変化を説明していく流れが定番のような気がする。個人的にはインターネット、ソーシャルで変わる世界、というのはいろんなインターネット系メディアやそれこそ佐々木さんのメルマガで断片的には読んでるのである程度読み直し的な感覚もあるが、学生時代世界史が好きだったこともあって、概略的な流れを理解して暗記ばっかしてた高校時代の世界史の知識が、さらに経済や宗教、政治、民族的な視点から見直す、こういう新たな歴史の説明が目新しくて楽しかった。

しかし、佐々木さんの著作も2010年ぐらいまでは 「仕事するのにオフィスはいらない」>ノマド、「キュレーションの時代」>情報キュレーション、「電子書籍の衝撃」>電子書籍、などとデジタル技術の具体例をテーマにしたものから、前作の「当事者の時代」や今回の「レイヤー化する世界」みたいにより高いところから俯瞰した視点の話が多くなってきておりますな。やっぱ回数重ねて行くとより俯瞰へ俯瞰へと動いていくのかね。とりあえず一日程度で読了。ちょうどいいボリュームでした。。

レイヤー化する世界
レイヤー化する世界

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佐々木俊尚氏 キャリアについてのお話 2013年02月24日

Working in Rimini
“Working in Rimini” photo by Quasimondo

佐々木俊尚氏のメルマガを契約して毎週読んでいるんだが、以前のメルマガでちょっと面白い記事があった。この記事は2013年1月21日に配信された(メルマガは毎週月曜配信)もので、トップ記事はfacebookのグラフ検索に関しての記事だが、個人的には2つめの記事で述べられていた内容がとても印象に残った。ちょっと時間が経ってしまったけどとりあえずちょっと紹介。

佐々木俊尚氏がとあるインタービューの中で「仕事をどう選ぶ」という問に対して自分がどうやって今の仕事をしていくようになったのかをなったのかを述べているんだけど、いろいろなメッセージがあってほとんどの内容に個人的に大賛成なんである。大賛成というだけなら話がここで終わるのでもうちょっと解説します。

日本の会社ってジェネラリスト養成型が多くて、社員に何でもやらせようとします。入社して企画の仕事をしていたら、「一度現場も見てこい」なんて言われて営業に異動して、また企画に戻ったかと思えば、今度は総務に行かされたりする。そういう「ひと通り見てこい」みたいなことって、実際はあまり意味がないと僕は思います。

中略

ただ問題なのは、たいていはその「ひと通り」のスパンが長いんです。大企業の場合は20年くらいかかったりする。そこから幹部になったり、起業できればいいけれど、計画通りに行かないことも十分あり得る。そうなったときに残るのは、中途半端な経験だけ。専門性が蓄積されていないので、リストラや倒産など転職せざる状況になった時につぶしが効きません。

自分の20年後につぶしが効かなくなったりしなくならないよう、専門分野を決めることが大切という。社会に出たら自分はどこの分野でメシを食うのかを決めないといけない、氏が新聞社で記者をやってる時代は終身雇用もまだ説得力を持っていた時代だったから、専門性の重要性を感じたのはIT系の記者になってからだとのこと。

ところが、いざIT系の雑誌編集部に飛び込んでみると、コンピュータやインターネットの技術や製品について詳しい人は山ほどいるわけですよ。がく然としましたが、いろいろな仕事をしているうちに、ちょうどそのころ頻繁に起き始めたインターネット犯罪については、取材手法を知る人が編集部に誰もいないことがわかりました。そこで、新聞記者時代に培った人脈やノウハウを使って「迷惑メールの帝王の素顔」というようなアンダーグラウンドの記事を書いたら、読者から大きな反響があったんです。

氏の場合、ITの専門性の部分とそれまでの経験で積み上げた人脈などを駆使して法や警察、犯罪といった専門性の部分も掛けあわせて他の人では中々真似できない記事を書くことができるようになったようです。

仕事もそうですが、私たちの生活がテクノロジーでどう変わっていくか。単にツールとして生活を便利にするという話ではなく、社会構造そのもの、世の中の概念や仕組みにテクノロジーがどのような影響を与えていくかを描いていく。それがジャーナリストとしての僕の立ち位置です。では、なぜ描き続けるのかというと、見てみたいんです。自分で「世の中がこうなる」という未来予測を立て、それがどうなるのかを知りたい。仕事を続けるということは、そういう面白さがあります。

このくだりは仕事に対するモチベーションの根本ですな。今の御時世、「仕事するぞ」と言って業務時間内に机に座ってる間だけが仕事というものではなく、プライベートの時間も含めオンラインになっている時間も長いし、すべてが自分の仕事やアイデンティティに関わってくる。そんな中で仕事する根本の気持ちの持ちようみたいなものですな。やっぱ基本的には好きなことを仕事にしないと始まらない。大学生の時に1日8時間、働いているということは1日の1/3を仕事に費やしてるわけだから、嫌な仕事を嫌々やってられない、という理由で自分の好きな仕事を探して良かったと思える。

インターネット犯罪の取材に端を発し、その後はテクノロジーが社会をどう変えていくのかをテーマにジャーナリストとして活動してきました。読者のニーズは高いテーマですが、テクノロジーと社会、それぞれについては語れても、その接点を追い続けてきた人というのはそう多くはありません。独立して10年になりますが、ここまでやってこられたのは専門性があったことに加え、その専門性にニーズがあったからだと思います。専門性というのはニッチすぎるとニーズがなくて仕事になりません。だから、ニーズを見極めながら自分の専門性を高めていくということが大事なんです。

氏は専門性もニッチにならず世の中のニーズを見ながら自分の専門性を高めていかないといけないとも言っている。まあね、そりゃあ今のインターネット全盛の世の中でいくらすごい技術者だからと言ったって「有線の電話技師です!」と言ったってそもそもそんなに商売の話もなかろうと言うものだろうし。その世の中のニーズにあった専門性を探していくのもトライアンドエラーでいろいろやってみてうまくいくようなら進めてみる、というようなやりかたで見つけていくしかないと。だから若手にいろんなことをやらせてくれる会社を選ぶのもまた良いかもという話。

常にビジネスを開拓しなければいけないというのは、もちろん会社員も同じです。ただ、フリーランスは収入がいつ途切れるかわからないから、それがある種の原動力になって日常に埋没しないでいられるというのは実感しています。よく「不安じゃないですか?」と聞かれますが、今の時代、不安じゃない人なんていない。むしろ、フリーランスというのは会社員と違って収入源が複数ですから、リスクヘッジになります。何が安全かわからない時代ですから、安全性を基準に仕事を選ぶという行為はもはや無効ではないでしょうか。

サラリーマンだって将来同じような条件で働けるかどうか、って不安は常にあるものだし、もしいきなり裸で明日ほっぽり出された時などにどうするか、というような例えの話でもある程度の回答を用意しておかないと、こっから先はホントに何があるかわからん。海外に住んでいるとVISAの問題などもあるし、さらには日本本体が今の現状どんどん先細りしてるように見えるから。

もうひとつ言うと、個人的には目が見えなくなったり、歩けなくなったりというような加齢とともに発生する身体の障害に対する備え、こうなった時にも自分は働く口があるのかということも最近は頭をよくよぎる。この回答はほとんどインターネットの向こうにしかないような気がします。やっぱりネット上のサービス業か、ネット上のコンテンツを扱う仕事。最悪指一本でも仕事は可能だと思うので。

コンピュータやインターネットが発達して、先進国の単純労働を機械や賃金の安い外国人労働者が奪い、仕事の選択肢が先細りすることもあれば、ネット上のサービスのように新たな仕事やビジネスが増えたりもしてるわけで、この技術の発展は人を幸せにも不幸にもしてるわけですがそういう構図がわかってるならじっくり先読みをしながら、なんとかその、幸せのほうに乗っかりたいと思うわけです。

でも先の氏の立ち回り方のように、ひとつの専門性を軸にしてそれまで自分のいろいろ寄り道をしてきた経験から来る他の専門性を掛けあわせた仕事のやり方、これこそ他の人には真似しにくい強みになるんじゃないかと。だからあくまで専門性を軸にした経験の豊富さ、人脈の多さでどれだけ独自性のあるスタンスが取れるかが決まってくるような気がしますな。基本的には常に実践実践!ということなんか。ちょっとこういうことを頭に置きながら日頃の生活の仕方をもっかい考えてみようと思ったりしております。

佐々木俊尚 公式サイト
有料メールマガジンのご案内 佐々木俊尚の未来地図レポート
まぐまぐ! 佐々木俊尚の未来地図レポート
↑ こちら佐々木俊尚氏のメルマガ。コンピュータやネットで実現するちょっと先の未来を想像する、というのが楽しい人にはとてもおすすめ。毎週月曜配信、月額1,000円。

追記

人の文章を引用してこういう文章を書いていくってのは難しいもんですな。ほとんど1段落まるごと引用と変わらないぐらいになってしまった。。。。でも書くんだよ!書かないことにはうまくならない。

仕事するのにオフィスはいらない? 2012年02月14日

「仕事するのにオフィスはいらない ノマドワーキングのすすめ」 佐々木俊尚

を読んだ。ITジャーナリスト、佐々木俊尚氏の著作。毎日都心のオフィスまで満員電車に揺られて出勤するオフィスワーカーというスタイルを捨ててノマドという定位置を持たずに仕事を進めるスタイルや人たちのことをまとめた一冊。

キーワードは

パーマネントコネクティビティ
サードプレイス
アテンションコントロール

というところじゃないでしょうか。

日本を離れて既に5年、サードプレイスなんて言葉もこの本読むまで全く知らなんだ。パーマンネントコネクティビティというキーワードもホントにインターネット的な響きですな。

でも個人的にこの本読んで一番勉強になったのはアテンションコントロールの部分。このアテンションコントロールは別にノマドワーキングスタイルに限らずどこでも必要になって、ちゃんと仕事をこなしていくにはこれができていないといけないのだが、まあ僕みたいにIT関連の仕事だと手元のPCが常にインターネットにつながっているわけで、とにかく気が散る要素は容赦なく多い訳です。

そういう時にノマド的に仕事してる人、例えば自宅勤務だと周りの監視の目がない分、永遠にグダグダしてまうわけですが、そういう気分を律し、効率よく仕事して行く結構細かなtipsが満載でそういう部分が「ほうほうなるほど。。」と興味もってグングン読み進めたところがよかった。

基本的にこの人の本は面白い。ネットワークが好きでネットで社会が変わるちょっと先の未来を夢想するのが好きな人は多分この人の著作はどれも楽しめるだろうな。

ちなみに自分はこの人のメルマガも購読してたりします。

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メルマガ・佐々木俊尚の未来地図レポート 2011年09月14日

佐々木俊尚氏が書かれているメールマガジン。毎週月曜日配信で月額1000円のコンテンツであります。

佐々木俊尚 – Wikipedia

佐々木俊尚氏の著書は何冊か読んでいてインターネットの技術的な部分ではなく、メディアとしての情報の流れ方や使い方などを非常にわかりやすく説明してくれている。自分がブログをやっているのもあって彼の著書を読んでいると非常に楽しく、またブログやFBなどでも「こういうことをやってみよう」というような新しい試みのネタに溢れている。twitterでもフォローしていて先日こんなツイートが流れていた。


Twitter / @sasakitoshinao: 昨日配信のメルマガは「新しい格差の時代」。今週中にP …

これ読んでなんか唐突に読みたくなってとりあえず購読処理終了。前からホリエモンのメルマガなども購読していたが彼がお務めに入った後はやはりコンテンツがちょっと乏しくなってしまったことは否めない。そんな中で毎週楽しめるコンテンツを補完する意味でもこちらのメルマガを契約 Continue reading “メルマガ・佐々木俊尚の未来地図レポート 2011年09月14日”

ネットがあれば履歴書はいらない -ウェブ時代のセルフブランディング術 佐々木俊尚 2011年07月28日

今月いきなり来タイしたみやさんに持って来てもらった一冊。ぱっと目についたので買ってみたがやはり適当に本を買うべきではないですな。第一版が2010年の01月の本だった。ネット関連のネタで1年半も時間が経っていたらいろいろ古くなった記述が見え始める時期でしょう。とはいえ、せっかくお金出して買った本だからとりあえず、社員旅行のバスの中で読書。

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この本のタイトル、LinkedInみたいなウェブサービスがある昨今「そういうもんなんかねえ」という風に思われるだろうが、僕も実際に半年以上ブログを毎日更新してみて思うのは Continue reading “ネットがあれば履歴書はいらない -ウェブ時代のセルフブランディング術 佐々木俊尚 2011年07月28日”