Beat the Boots! インクジェットプリンタ 2016年01月08日

btb

年末にいくつか記事を書きましたがなぜかインクジェットプリンタの連続インク供給システム、いわゆるCISS(Continuous Ink Supply System)に興味が出てずっといろいろ調べている。んで、しつこくまだ記事を書くわけです。

PCショップなどを見た結果、結局今現在ではEpson、Brother、Canonなどの大手メーカーが純正のCISSプリンタを出している。ムクダハンに行った時にPCショップを覗いたらCanonのG2000があってこれがなかなかスマートな形のCISSプリンタだった。

2014年にEpsonがメーカー純正CISSプリンタを日本はとりあえず除いて東南アジア各地(フィリピンやタイ、ラオスなど)で始めて今ではhpを除くほぼすべてのプリンタメーカー大手はCISSプリンタを売り出していることになる。多分これからインクジェットプリンタはどんどんCISSのシェアが増えて普通のインクカートリッジ式はなくなるでしょう。印刷コストが20倍ぐらい違うんだから多分そうなる。

んで、インクジェットも今使うのであれば

白黒インク:顔料インク(Pigment Ink)
カラーインク:染料インク(Dye Ink)
連続インク供給システム

という構成が一番使いやすいんじゃないでしょうか。カラーインクによく使われる染料のものと違って顔料インクはインクが紙に染み込まず紙の上に乗るような形でにじまず黒文字がくっきりと印字されて綺麗らしい。しかも耐水性があるので印刷した紙が水に濡れても文字が流れない。ビジネス用インクジェットプリンタではこの顔料インクが人気があるとのこと。カラーもビジネス用だと黒+CMYの4色で十分。

昼間いろいろ自分のBrotherのプリンタでfast print mode、best print mode、ink save modeなど印刷結果をテストしてみた中で判明したのはBrotherのCISSシステムの黒インクは顔料が使われてますな。実際に印刷結果を濡らしてみて文字が流れないことも確認。他の色はしっかり流れてました。(補充用インクボトルにもそのパッケージにもボトル内のインクの量もどんなインクかも何も説明がなく、ただ単にRefill用黒インクとしか書かれていない。。)

インクジェットプリンタでも白黒の印刷なら今ではかなり印刷速度は早く、自分のやつだとfast modeで白黒で1分間に最大27枚も刷れる。(カラーで10枚/1分)この程度のスピードで刷れるなら十分ビジネスでも使えるレベルだと思うな。印刷コストは安いし、これからはもっとインクジェットも見直されるでしょう。昔からCISSはあったもののジャンク感溢れるプリンタ改造の見た目から壊れやすい、ヘッドがすぐ詰まるなどの悪評があったがメーカーが純正で出してくるんだからレーザーでなくてもいいんじゃないかと。本体買う時の初期費用が安いし。

ただ、残念なのは日本ではどのメーカーもCISSプリンタを出しておらず、AmazonなどでCISSのDIYキットを見かける程度。見た目のジャンクな感じやインクという水ものを扱う性質上、今まで見たこともなければ使ったこともないユーザーさんにはかなりハードルの高いものでしょう。

amazonでも並行輸入でEpsonあたりの純正CISSプリンタが売ってるのでこの辺がおすすめです。ちょっと本体が高いんだけど、ランニングコストが馬鹿みたいに安いのでよく刷る人ならすぐにインク代で元が取れます。その構造も結構面白いので興味のある人は一台買ってみると楽しめると思います。

↑ EpsonのCISS複合機。

↑ Brotherのプリンタも国内販売されてるモデルをこのCISSカートリッジにすればいいと思う。BrotherのこのタイプのCISSはカートリッジ入れ替えるだけなので非常に簡単。

A4モノクロレーザープリンタのランニングコスト- プリンター・スキャナー | 教えて!goo
↑ レーザープリンタとインクジェットの違いが書かれていて結構面白い。確かに以前持ってたレーザープリンタは印刷した紙が熱でロールしてクセが付いてて使いにくかった。

昔Frank Zappaがライブの音声を勝手に録音したり、テレビで放送するために高音質で録音したライブ音源をアーティストとは関係ない連中が勝手に販売して金を稼ぐいわゆる海賊版ビジネスに手を焼いていた頃、そういった販売の締め出しを行うのではなく、逆の発想で、ちゃんと聴ける、アーティストも納得できる音質に仕上がっている音源を逆に正規のルートから別途販売してアーティストに金が入るようにしてしまうというBeat The Boots(ブート版をやっつけろ)シリーズが発売されたが、このインクジェットプリンタの動向を見ているとそれを思い出した。第三者が本体改造してるのをそのままメーカーが認めて純正でハードを出すという逆転現象。中々面白い。賞賛すべくは先頭を切ったepsonが以前のようなインクカートリッジ販売みたいな高利益なビジネスパターンから薄利なインクタンク式に降りて来たことだと思います。

いずれにせよこ他のメーカーも追随してバンバンインクタンク式を出してくるんだからこれでも品質的には問題ないはずで、いずれこうなる流れだったでしょうから先発の方向性の切り替えは英断であると思います。

だからインクぐらいはメーカー性を買うべきですな。たぶん、普通の人が使う分にはインク一本一年かけても使い切れない気がする。。

インクジェットプリンタ改造:CISS化 2015年12月23日

CISS - Day 304 of Project 365

前回書いていたインクジェットプリンタのお話。

その後いろいろ調べていくとインクジェットプリンタをタンク式にする方法をCISS(Continuous Ink Supply System):連続インク供給システム、というらしい。

純正カートリッジとほぼ同等品質に印刷できるというのがわかって以降、結構興味を持っていろいろ調べていたが、慣れれば自分でも自作できそうでCISSの自作キットを買って、インク切れとともに自宅の片隅に眠っているHPのD1660をCISS化してみたい欲が出て来てしまって困っている。こんなことしたってすでにもう自宅には複合機でちゃんと使えるカラープリンタがあるのだ。

それでもやってみたい。面白いのはまずこのインディーな改造後のデザインである。

ジャンクで安っぽくインディーな絵面がそそる。ちょっと前までは単純に安物買いの銭失いパターンだと思ってまともに見てなかったが、このインディーな雰囲気とタンク+水ものというのが改造衝動をそそる。

価格も安い。この改造キットが3,000円から6,000円ぐらいで手に入る。しかもほとんどのメーカーのインクジェットプリンタに対応している。Canon、hpあたりはカートリッジがプリンタヘッドにマウントされて可動式になっているようで、実に大きなタンクを本体の横に置いて黒・青・黃・赤の四本のチューブが中途半端に閉め切れない本体ボディの隙間から入院患者の点滴かもしくは人造人間のケーブルのように繋がっている。

メーカー側もプリンタ本体を安くで提供してるのにこんな方式で純正インクの購入を回避する方法が広まると困ると思ったのかインクカートリッジにICチップを付け、インク切れを検出させてアラームを出したカートリッジはインクの補充をしても印刷できないような仕様にしてしまった。

しかし、これはちょっといやらしい仕様で、改造などをやりたくない、技術がない人は純正品使えばいいと思うが、創意工夫でサードパーティのインクを補充して使えるようにした人の分までその道を塞いでしまうのはどうなんだろう??

とはいえそこはイタチごっこで、CISSキットを制作してる業者は独自にカートリッジを一回本体から外して再度付けるとインク残量がリセットされてしまうICチップを作って問題を回避してしまった。ああ、このアジア的な小競り合い。

しかもこのインク残量検知ICだが、

PM-950Cのインクカートリッジを分解してみる

こんな記事も見かけたりで、どうもEpsonの該当カートリッジはインク残量ではなく、印刷されたドットの数をカウントして一定回数が出力されれば「インクが残ってないはず」だということで、実際のインク残量に関係なくインク切れアラートを投げるようだ。で、実際に分解してみるとかなりのインクが残っている、というプリンタメーカーの回収プロセスとしてのロジックが残念感を募らせる。

そういう過剰な課金状況の中、適正なコスト感でプリントしたいという改造魔のアイデアなんである。Apple Computerももともとは国際電話をタダでかけるブルーボックスという違法なツールからスタートしてることを考えるとCISSもデジタルエイジのカウンターカルチャーなんである(無理に正当化してます)。

で、それはさておいても、下の動画のようにちゃんと調整すれば印刷の画質もかなりちゃんと出るようである。

めちゃくちゃキレイな色合いが出ている。しかもこの動画のhpのd1660が今回自分がCISS化したい家に余っているプリンタである。

本来はタンクとインク供給チューブ、インク残量リセットチップを別に購入して、今プリンタについている純正カートリッジにドリルで穴あけしてチューブをセット、純正チップをリセットチップに交換して全部自分で交換してみたかったがどうにもリセットチップが単体で売っていないようで以下のタンク、チューブ、カートリッジ、リセットチップまでがセットになっているものを買う必要があるみたい。

Toner Chip – Inkjet Cartridge – Converter – Circuit Tester

この台北のUniplus Technology Corporationというところがリセットチップの製造を行っているのでここなら買えるかと思ったが対応するhp60というカートリッジのリセットチップはなかった。直接問い合わせれば買えるのかもしれないけど、そこまでするならセットを買うか?という感じである。

CAMEL350 Original HP 678 Ink CISS for HP Deskjet Ink Advantage 1015 | eBay

ebayのこの商品ページを見ればインストール方法なども詳細に書かれている。使わないけど、一回CISSを自作してみたい。作ったら作ったで誰かに売っぱらってしまうか。


↑ Epsonのプリンタでの設置例


↑ Brotherの特定機種はかなり簡単にCISSを設置できる。チューブの取り回し等が必要ないのは非常に簡単でいい。

ちなみに日本のAmazonでも結構CISS改造キットが売っていた。が、なぜかEpsonとBrotherのもののみ。日本で今までCISSのプリンタを見かけたことがない人にはちょっと抵抗あるかもしれないが、特段既存のプリンタを加工する必要はないはずなので試してみる価値はあると思います。うまくいけば印刷のインクコストが10分の1以下になります。カラーのミスプリントなんかもほぼ気にならなくなるのがいいところ。

↑ ちなみにタイとかで売ってるEpsonのCISS版プリンタも日本のアマゾンで並行輸入品として売ってますな。