地道にたこ焼き一筋何十年? 2013年09月08日

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↑ これは9年前の写真です。。

前回の日本への一時帰国でもうひとつ特徴的なお話がありました。

実家の家族が僕が次の日にタイに帰る、という最後の晩に大阪の実家らしくたこ焼きパーティをしてくれました。妹のマンション宅にてカセットコンロとたこ焼き鉄板を囲んで皆でたこ焼きを焼きつつ、食いつつ、飲む人もいつつ、ワイワイとやっておりました。

ふとした話で香里園元ダイエー近くのたこ焼き屋の話になりまして、このたこ焼き屋、うちの実家ではここら界隈では一番おいしくて安い店で高評価なんであります。昔は一舟8個入りで100円、だいぶ前に立ち寄った時もさすがに値段調整を強いらることになったのか6個100円となってましたが、それでもまだまだ安い。東京でしかたこ焼き食ったことない人にしたらこの値段感覚はたまげるでしょうな。

たこ焼き!イエ!
↑ このエントリが2004年12月31日のもの。200円でたこ焼き12個。安い。


↑ 場所はこちらであります。

しかし、上のエントリでも書いてるが、約9年近く前の時にもまだまだ元気に商売していて、未だに老夫婦ともにたこ焼き焼いているとのこと。さすがに一時期体を悪くしたのかしばらく閉めていた時期があったようだが見事に復活して地味に営業を続けているらしい。客は殺到するでもなく、途切れるでもなく、地元の人たちに確実に覚えられててリピーターがいっぱい。少なくとも僕が小学校の時ぐらいから営業してるので、僕は現在38歳、10歳だったとしても28年間、日本がバブルに浮かれる時期も、震災や不景気にあえぐ時期も、ITバブルの時期も、東北の震災以降の閉塞感のある今も、地味ーに営業してはるのである。

そして僕が小学校の頃から、おっちゃんはええ年したホントの「おっちゃん」だった。上のエントリに書いている通り、いつぞやたこ焼き待ってる時に尋ねた際に

「お兄ちゃんが生まれる前からたこ焼き屋やってるよ」

と言っていたので、おっちゃん今何歳なんや??僕が生まれた時に20歳やったらもう58歳。あ、普通か。。。でも多分、もう70近いお年なのかと想像しておりまする。

しかし、38年以上もたこ焼き焼く人生ってのも凄いなあ。。絶対僕は真似できんが地道に焼き続けてこれだけ商売が持つというのは凄いことやなあ。今回は最後の晩にこういった会話で久しぶりに思い出したが来年は10年ぶりに食いに行きたい。それまでおっちゃんもおばちゃんももってて欲しいなあ。

凶悪―ある死刑囚の告発 「新潮45」編集部を読んで 2013年09月07日

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日本に一時帰国した際に大学の時の友人たちとメシを食いに行って、映画「冷たい熱帯魚」の話になった。その時に友人から教えられたのがこれ、文庫本「凶悪」。kindleで551円。

これもまた、「冷たい熱帯魚」同様、現実の殺人事件をベースにしたストーリーで映画化されている。ちょうどこれから公開になるはず。この凶悪は殺人事件で逮捕、服役中の犯人がジャーナリストに対して警察が感知していない余罪を告白しだして、その中心人物だった「先生」と呼ばれる男を逮捕させるための復讐劇と、ジャーナリストが告白の検証、裏付けなどに奔走する姿、警察に上申書として3件の殺人事件の報告書を上げ、先生逮捕に至るまでの警察の動き、メディアの動きを追ったもの。

実際に読んでみると、以前読んで強烈な印象を持った「冷たい熱帯魚」の愛犬家殺人の話とは異なり、この「先生」は実に冷静で食い物にする相手を選ぶ感覚も、家族がすでに全員死亡して子供もいない孤独な資産持ちの老人や、素行が悪く家族からも鼻つまみにされている会社社長が経営が行き詰まり、借金まみれになっているところに整理してやると入り込み土地やなんだかんだを奪ったあとに殺してしまう、また殺し方も半分アル中、糖尿病持ち、借金まみれ、の人間に過剰に酒を飲まして病死や自殺に見せかけるなど、時間と手間がかなりかかりそうだけど割に合理的で足が付きにくそうな手順を取っている。また、「先生」自体はいざ自分で人を殺さないといけないという場面では中々実行できずに未遂のまま終わってしまうなど、あくどいけど感覚的にはまだ人間として理解できる行動なのがちょっと読後の印象としては地味なところか。

愛犬家殺人のほうは死体の証拠隠滅を図るため、包丁で死体を捌いて骨と肉に分け、ご丁寧に肉の方はサイコロステーキ大にカットして、後で川に捨てた際に魚が食べたり、微生物が分解しやすいようにするという念の入り方だが、対象は人体であってこれを眈々とこなす神経が凄い。女性の死体を死姦したり、「俺は殺しのオリンピックがあるなら間違いなく金メダル」というような発言など、実に社会生活の一場面のような感じです言ってのける感覚が、この犯人の化け物的印象を深くする。

神戸の連続自動殺傷事件の犯人のように殺人という、反社会的、非日常的な行為を行うことを自分を解放する高尚な儀式とするような大義名分めいた意味付けもなく平然とここまでの作業をやってしまう愛犬家殺人の犯人はかなりの怪物だと思う。こういうのを見て(読んで)しているとごく少数だろうが、こういうまだ見ぬ怪物が今もどこかで世間の目をかいくぐってのびのびと社会生活をしている可能性を思うと結構ぞっとする。相手は日常の作業と同じ感覚で平気で人を殺すからこちらがどんだけ頭使って牽制しようが、その努力を一気に飛び越えて狂気でもってこちらにやってくるだろうなぁ。。目をつけられてしまった段階で多分一般の人間は勝ち目がないな。。。

そう考えるとこの凶悪での「先生」のマインドはあくどいけど、まだまだ一般常識人。愛犬家殺人から比べると、ショックの量は少なかったかな。個人的には愛犬家殺人の犯人のほうがもっと凶悪な人間だとおもってしまうのであります。

話の内容的にも、新潮の記者が告白を受け、その供述の検証、裏付けを行っている際の細かな動きや気持ちのブレなどがしっかり描かれているんだが、警察に上申書を提出してからは流石に警察の捜査班の中には入れなかったか、その後の経過はかなり簡略的にまとめられてるだけでちょっと中途半端。

というわけで実際に起こった犯罪の手記などを読み慣れてるとちょっと地味な印象であった書籍・凶悪でありました。後はリリーフランキーとピエール瀧という奇妙なキャスティングの映画がどんな感じなのかですな。。

次は、北九州監禁連続殺人事件の「消された一家」を読むか。。。

お菓子?酒粕? ข้าวหมาก カオマーク 2013年09月06日

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僕の勤め先のオフィスが入るSilom Complexの1階でまたまたタイの特産品展みたいなのをやっていた。またまた、というのはどこのでデパートでもだいたい年に数回こういう各県や地方の名物を集めたような催し物が1階の広場みたいになっているところで開催されていたりする。しかし、この特産品展、だいたいどこでも、だいたいいつでも、売られているものはほとんど同じなのである。それでも開催されているうちはそれなりに人が集まるから不思議だ。みんな飽きないのかね?

と、こんなことを言いつつも先日彼女とその特産品店をブラブラしてたら彼女が見つけたものが上の画像。

「ข้าวหมาก があるよ。これまだ食べたことないでしょ?」

というわけでお買い上げ。「この葉っぱってใบเตย バイトゥーイ?」と聞いたら「いや、バナナの葉っぱ」とのこと。その他ココナッツの葉で包むこともあるみたい。んで中には、このように発酵させたもち米が入っているのであります。

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彼女に言わせると、田舎の市場で買うやつはこんなビニールを間に挟んだりはしてないよ、とのこと。そしてこのカオニャオ、匂いを嗅いでみるとぷーんとアルコールの匂い。普通にアルコール醸造過程のもち米を葉っぱに包んで持って来ましたって感じの。ホントに入っているのはもち米だけ。

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皿に移してスプーンで触ってみるとこのもち米、かなり水分を含んでいてこれまたアルコール臭がぷ~ん。今、酒辞めてるけどとりあえずこれはお菓子だから口に運んでみるとまさに薄い日本酒的な甘さと香り。まあ確かにおいしいけど、多量に食ったり、葉っぱに長いこと包んでる状態でほっとくとかなり酔っぱらいそうである。それぐらい日本酒の香りに近い。絞ってない酒粕かな。確かにおいしいんだけど、お菓子かというとちょっと??な感じ。こんなの子供に頻繁に食わすのもよくないと思うんだけどな。。。

酔っ払うといけないので1個で止めときました。。。

タイの7-11でブルガリアヨーグルトが売っていた 2013年09月05日

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日本の一時帰国を終わってタイに戻ってきた。それで晩に明日の食パンを買おうと思って7-11の商品を眺めていたら、チルド冷蔵庫の棚にブルガリアヨーグルトが!

ついにタイにもブルガリアヨーグルトのブランド名が上陸ですか。確かにタイで売ってるヨーグルトって基本フルーツフレイバーとか加糖のものがほとんど。topsなどのスーパーで無糖のヨーグルトも見かけるんだが、パッケージに全く色気がなくて料理用、というような適当なパッケージであんまりそのまま食べる感じではない。

とはいえ、自分はこの2,3ヶ月、異常に屁が臭くてたまらなかった。ネットで調べてみると屁がいきなり臭くなるのは腸内の異常発酵状態が原因ではないかと書かれていたりする。腸内の細菌バランスが崩れて腸の中の消化物が異常に発酵してしまったりして異臭を放つらしい。これをまたもとの状態に正していくには乳酸菌をちゃんととるのがいいらしい。乳酸菌がちゃんと腸内に居座って要らない細菌を追い出してくれるらしい。

だから、カロリーの点から考えても無糖のヨーグルトを食う必要があったんだが、ついにブルガリアがタイでも食えるようになりましたか。

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こちら、無糖タイプ。日本のブルガリアヨーグルトのイメージで考えると結構大きいサイズの容器を思い浮かべるだろうが、こちらのは110g。個食サイズだ。110gで60kcal。

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こちらは加糖タイプ。110gで100kcal。無糖も加藤もロゴが英語だが、それ以外は日本のパッケージとあんまり変わらない印象を受けるがよくよく見るとスプーンの上の表記がタイ語になっていてやっぱりタイの製品なんだと再認識させられる。

しかし、タイの7-11もホントに新商品の展開のペースがだんだん短くなってきているように思う。そして7-11に限らないんだけど日本のブランド名の取り込みが最近はめちゃくちゃ頻繁だ。日本の食品は高品質、健康志向なんて感じでタイ人にも認識されてるんだろうか??まあこのブルガリアヨーグルトは嬉しいが、せっかくタイにまで出てきてるんだから身の回りが日本のブランドで埋め尽くされてしまうのはあまりおもしろくない状況だなあ。もっとヨーロッパやアメリカのブランドとか、さらにはやっぱりタイのローカルブランドでいろいろ先を見越して高品質ブランドが出てくると面白いんだけどなあ。。。

ウルトラマラソンマン ディーン・カーナゼス 2013年09月04日

Trusty New Balance 992's / Soggy Gooseshit Socks
“Trusty New Balance 992’s / Soggy Gooseshit Socks” photo by Nate Luzod

アメリカのウルトラマラソンランナー、ディーン・カーナゼスの著作。これもkindleで売っていたので購入。840円。先日の日本一時帰国の際に行き帰りの飛行機の中で読み切った。

いやー、この人は変態だわ。なぜこんな過酷な長距離マラソンを走るのか?というと基本答えはただひとつ、「肉体をいじめ抜いてどこまでのことができるのか??」だけ。100マイルのマラソンを走ったり、気温50度以上、路面温度90度以上になるアメリカの日陰が全くないカンカン照りの砂漠の一本道のハイウェイをふらふらになりながら走ったり、極寒の南極をスノーシューズではなくランニングシューズでフルマラソンしたり、あげくは全体300kmを超えるリレー大会のコースを一人で完走したりと「なんでそこまで。。。」と呆れるぐらいに極限への挑戦を行うドMランナー。

本を読んでいても、特定の信条、思想について書いていたり、精神世界がどうのとか、そういった記載はまったくなく、本人のこだわりは若い頃になくした妹の事。彼の信条の根幹にあるものが仰々しい大義名分ではなく、彼の生活の半径何10kmとかそういったレベルの非常に地に足をついた地味ーな生活基盤なんである。完全ヴィーガン(菜食主義者)でウルトラマラソンランナーのスコット・ジュレクなどとは大違い。スコットジュレクの場合、動物保護や健康管理上の視点から好ましいとされる菜食主義者で、ウルトラマラソンで過酷な肉体的課題を次々とこなしていって、世の中の菜食主義者のアイドルとなっている(完全菜食が菜食+肉食の通常の食生活と比較して栄養学上、健康上問題が発生しないのかというと、そこはまだ完全に答えが出ていない)。それと比べるとディーン・カーナゼスは「俺がやりたいからやる!肉体の極限までを試してどこまでのことができるか見てみたい。きっと死んだ妹も喜んでくれるはずだ。」と自分のコアに一直線。普通に職場や友達関係では思い込んだら言うこと聞かないちょっとめんどくさい感じの人なんだろうなあと夢想。でもまあわかりやすくて信用はできるかな。

しかし、本の後半この人はちょっと人道的な理由付けを覚えてしまう。「病院で臓器移植を待っているあの娘のために走る!」というような感じであります。このへんはちょっと”思い込み善意の人”っぽくなってて感情移入がしずらくなった。自分の思い込みだけで根拠もなくポジティブでそれを人に振りまいたりする人を”思い込み善意の人”と呼んでるが、よくネット上のコメントなんかでも「元気玉送ります」とか、「元気を頂きました」とか書いて得意満面になってる人が居るが、ああいうどうでもいい根拠も何もないことを発して自分は善意の人だと思い込んでる偽善的な雰囲気があまり好きでない。「いやー、書くことなかったからみんなに合わせて書いただけだよ。実際には元気玉とか元気をもらいました、とか何言ってんねん?!って感じやけど」と言ってくれる人ならいいが、真剣に「俺、良いこと書いたなあ」とか思ってる人とは話しが合わなくて困るのだ。。

ディーン・カーナゼスの例も「いやー、一応やってることが俺の場合極端だから、だいたい何かやろうとすると取材が入るじゃない?だからこういう臓器移植の提供者を探してる人達の看板役になってあげると目立って多くの人の目に触れるから何もしないより提供者が名乗り出てくれる可能性も高くなるかなと思って」とか言うのであれば至極同意なんだが、理論・根拠はなしに「あの娘のために走る!」としか書いてないから「はあ、、、」と言ってどうも気持ち的にシンクロできないのであります。

とはいえ、やっぱかなり変態的に走るにこだわったエピソードが満載でそれなりに読み応えがある。先のリレーを一人で走るなんてのも、300kmもの距離を数時間程度で走れるはずもないんだが、通常はリレーで短距離間で選手が入れ替わって走るからコース上に補給所なんて設置する必要もない。なのでこの人、食事などは自分で用意する必要があるのだが、携帯電話を持ちながら走り食事の少し前の時間になったらピザ屋に電話して「ピザ配達して!」と依頼するらしい。そして「40分ほどかかります」と言われれば「その頃には####の交差点から****方面にそう遠くにはいないはずだから交差点から走ってきてもらえば見つかるはず。」と言って持って来てもらい、なんと走りながら食ったりするみたい。なんともな変態ぶり。そうかと思えばドライブスルーで車がないからとオーダーを断られたりアホみたいなエピソードがいっぱいで楽しい読み物なんであります。

ランニング好きの人は是非。