Amazing Journey The Story of The Who 2013年11月09日

The Who - Amazing Journey premiere
“The Who – Amazing Journey premiere” photo by MikeHalesNZ

久々に週末に自宅で映画を観た。ちょっとHulu.jpをブラウズしていたら面白いものを発見、見始めたら止められずに最後まで一気に見ました。The Whoのデビューからこの作品が発表された2007年んまでのおよそ40年のThe Whoの奇跡を描いた作品、Amazing Journey : The Story of The Who であります。

今まで知らなかったけどWhoってもともとはロジャー・ダルトリーがエルビスに憧れて組んだバンドだったのね。冒頭はもうおじいちゃんなロジャーの語りからスタートして1960年代のイギリスへ。いろいろメンバーが組み変わりながらも最終的にスーパー変態のキースムーンが参加してメンバーはとりあえず固定化されるが、ここで僕もWhoを聞いてずっと感じていた違和感がメンバー達によって語られる。

ギターのピートタウンゼント
ベースのジョンエントウィッスル
ドラムのキースムーン

トリッキーさでは若干ジョンが弱いかもしれないけど、この三人、演奏技術もパフォーマンスも天才肌の人間たちで確かにこれだけ尖った人たちがよくもこれだけ長い間同じバンドに居れたものだと感心する。

ただ、、、もともとバンドのメインだったロジャー・ダルトリーがこれだけのメンバーが揃った中で見ると凡人に見えてしまう。実際んとこ、ロジャーは歌うまくはないもんな。。パワフルにがなりたてるスタイルで、うまいボーカルというのには程遠い。パフォーマンスもパワフルだけど、狂気を感じさせるようなトリッキーさは持ち合わせていないのでやはり弱く見えてしまう。自分がWhoを聞いていて違和感だったことは正しかった。当時のメンバーでもそう感じていたのだね。ロジャー・ダルトリーにとってなかなかにこれは同じバンドとしてやって行くに精神的にすり減るだろうな。実際にリーダーだったはずなのに、ロジャーは他のメンバーから追放宣言を受けるなど波乱万丈。自分が先頭切って歩んできたバンドを最高のものにしようとして最高のミュージシャンを迎え入れたら、今度は自分に引け目を感じる。。。だからと言ってこんな最高のバンドから抜け出したいわけでもなかっただろうから、苦悩したでしょうな。

また、10年以上のブランクを経て立ち上がった再結成プロジェクトの理由もジョンの借金問題を救うためという実に泥臭いストーリーだが、そこでの心境の変化、まさにジョンがツアー中になくなって、生き残りのロジャーとピートの二人が再度素直に向き合う下りは中途半端な映画を見てるよりもよっぽど劇的で面白いのである。

ただまあ、20歳前後の僕にこれを見せて面白いと言うかというと、多分

「辛気臭い話」

と取り合わない気がする。こういう再結成のバンドの裏話でしみじみと人生を感じられるのは、それなりに年をとってからでないと。10代、20代の頃は再結成ライブなんて本当にただの老害としか思えなかったし、丁度ハタチぐらいの時にWhoが再結成ツアーをやっていてGuitarマガジンなんかにピート・タウンゼントがよく載っていたが、全くライブには興味がなかった。

90年代の後半に僕が今の年齢だったらWhoの再結成ライブも興味を持っていたんだろうと思うなあ。まあそんなこと言っても何も始まらないんだけどね。もっと音楽聞きたくなり、そしてどんどん旬を過ぎた老齢のミュージシャンに興味が沸いてくるような映画。文句なく今年見た映画のトップ3のうちには入る出来だと思います。。。