Pattrawut Muti 「My Inspiration」と「Infinity Imagination」 2015年03月09日

日本からタイに持ってきた筋肉少女帯のCDを結局持て余し、それならeBayで英語圏の人に売ってしまおうと。海外に住んでて日本の音楽を自由に入手するのが難しい(いわゆるiTunesなどのオンラインのmp3ショップにも置いていないちょっと偏ったセレクションや、mp3のようなデジタルではなくCDのような現物が欲しい人たち向け)人たちにアピールすれば売れるんじゃないかと思ってたら、出だしからちゃんと売れております。

その中で、筋少のCDを3枚いっぺんに購入してくれたアメリカ人から「お前はタイに住んでるんなら、このタイ人アーティストのCDを持ってないか?持ってたら買いたい」と言われて紹介されたのがこのPattrawut Muti氏のアルバム。

初めて聞くアーティストの名前をぐぐってみて、YoutubeでアップされているPVを見てみるとインストで結構テクニカルに弾きまくりメタル。へぇ、タイでもこういう人が居るんだと興味を持ったので、そのアメリカ人に「面白そうだから、探しみるよ、ちょっと待ってて」と返答し、早速CD探し。タイの場合アーティストがリリースしたCDというのはよっぽどの話題性や販売数がないとリイシューや再プレスされることがほとんどなく、発売時の在庫が途切れるとほとんど街中で見かけることはなくなる。だから数年前のCDを見つけるというのは中々至難の技。現在タイのiTunesストアを確認してみると、大手レーベルのGrammyの毎年年末に発売されるその年に流行った曲の一年分の総まとめコンピレーションが少なくとも僕がタイに来た2006年からすべての年のものがあったので権利関係なんやらで再プレスができないということではないようだ。単純に再販でモノの先行投資をして回収するのがめんどくさいのかCDというモノで売るのは避けているみたい。(特に今の時代はCDなんて売れないし)

なのでアルバムタイトルでぐぐったりしてしたら、バンコクのソイランナムというところにあるメタルショップのサイトが出てきた。「タイにも、今の御時世でもメタルショップなんてのがあるんだ」と感心しながら、そのお店を訪問。日本もタイも変わらず、アパートの一室の薄暗い店内で店主が迎えてくれました。やはり今は実地販売よりもFBやサイト経由でのオンラインで販売がメインっぽく店主の奥さん?が入荷したCDのサイトへの掲載に忙しいご様子。

Triple Six Thailand : Triple Six Thailand

ただ、そこで聞いてみてもやっぱり在庫はないとのこと。店主に聞いてみると「ネットで本人に聞いてみれば?本人か、そのアルバムリリースしたレーベルならまだ多少の在庫は残ってるんじゃない?Day One Record、これそのアルバムをリリースしてるレーベルの名前だから」と教えてくれた。

DayOneRecords-Thailand

さっそくFBで名前検索。あー、居ます居ます。FBのメッセンジャーで問い合わせてみたら在庫があるとのことで、とりあえずこの時点で質問して来たアメリカ人には「本人から買えるよ。FBでコンタクトしてみな」と返信。喜んでました。

一番上の動画ではリフやフレーズがまんまアメリカン・ロックで彼がビデオで着てるTシャツを見てもわかりますが、Van HalenやSteve Vaiあたりのギタリストが彼にとってのヒーローなのだろう、音的にもそんな感じがする。今回手に入ったのはアルバム2枚。「Inifinity Imagination」と「My Inspiration」。個人的には「My Inspiration」が好みの盤で、一番上のビデオとは若干趣が異なりこちらはIron MaidenからHelloween系への流れの英国/ユーロ パワーメタル系。タイのメタル速弾きギタリストとしてその系統ではそこそこ名前が通ってるらしく、彼のアルバムをリリースしてるDay One Recordもタイ北部チェンマイを中心としている(もしかしてPattrawut氏がレーベルオーナー?)レーベルで、ハードロック好きの同僚によると、バンコクでのタイのインディペンデント系のメタルイベントなんかではよくこのレーベルのバンドが来てるそうだ。タイのインディ系のメタルのアクティビティは北部チェンマイで活発のご様子。

さらには僕がこのブログでも数回書いたことがあるタイの土着トライバルミュージック、モーラムのスケールやフレージングを意図的に取り混ぜて少しアジア臭さを出していて、単純にアジア人の欧米音楽への憧れ=単純にコピー的な音楽にならずにタイらしいオリジナリティをかもし出しているのも面白いところ。

自分はもう40近いんでさすがにメタルインストで一時間近くは結構聞き疲れしますが、でもライブでこういう弾きまくりで、踊りまくりの開放空間は楽しそうで、もしバンコクに彼が来た際には一度ライブに行ってみようとは思います。

さらに、近いうちに一度チェンマイにも行ってみよう。旅行もそうだし実際に会って話も出来そう。

北欧の極悪、ブラックメタル 2013年11月30日

Satyricon at the Inferno Festival
“Satyricon at the Inferno Festival” photo by Dan A. Nachtnebel

いやー、中学生や高校生の頃にHR/HM(ハードロック/ヘビーメタル)をよく聞いていたけど、この90年代前半の北欧のブラックメタルシーンというのは全く知らなかった。どえらい奴らが居たもんだって感じで、グランジがメジャーシーンがどうの、マイナーシーンがどうのと言ってたって屁でもなく、常に死と犯罪がつきまとうとんでもない極悪シーンが福祉の国ノルウェーで盛り上がっていたのですな。当時の日本のメタルシーンはレコード会社とがっちり手を組んだBurrn!が完全に先導していたし、さすがに企業がこんな犯罪まみれのシーンを日本に紹介するのも無理があったんでしょうな。。。

メイヘム – Wikipedia
バーズム – Wikipedia
インナーサークル – Wikipedia

これ読んでると、最初はライブの際のステージに豚の生首持ち込んだり、生肉や豚の血撒いたりと割と可愛いけど、そういう飛んだパフォーマンスを「どこまでやれるか?!」という感覚がどんどんエスカレートしたんだろうな。メイヘムの1stアルバムのジャケに描かれている大聖堂を発売と同時に爆破しようとしたとか、自殺したバンドメンバーの死体写真をアルバムのジャケに使ったり、自分で放火して全焼した教会の写真をアルバムに使ったりとか、挙句の果てはメンバー間の殺人。さすがに警察が黙っておらず90年代前半のうちに主要メンバーが逮捕されて懲役二十年とか十数年とかマジものである。

実際に音を聞いてみるとアイデア自体は面白くてMayhemやBurzumなんかは別に聞けなくはない感じではあります。ブラックメタルの語源はVenomの曲から取られたらしいが、音楽的にはMetallicaの1st, Megadethの1st, 2nd, Slayer, それから当時のヨーロッパの汚声スラッシュメタルバンド、Sodomや​Kreatorあたりがちゃんと下敷きになってる気がする。確かにちゃんと聞いてみるとこれらのバンドの進化系なんだね。このへん音楽が出てきた当初はメタルに死のイメージを当てるというのはあまりに安直で音楽も素人で作曲、演奏が簡単に出来そうに聞こえてなんにも興味をそそられなかった。。。

特に面白いものもないなーと思っていた90年代前半だけどこんなえげつないシーンが存在していた事も知らなかったのは勉強不足ですな。。。

最後にこんなものも。。

隣人注意報 : 「デスメタル沢山入ったiPod落ちてたぞ。誰のー?先生に渡しとくからもらいに行けー」