ひとり家飲み通い飲み 久住昌之 2012年03月03日

家飲み二日連続とか、超珍しい。ツマミは海老団子とスルメ。
↑ 2000年以降、急激に増えた「PC前ひとり家飲み」の風景ですな。

本の中にもWebの世界で言うハイパーリンクみたいなものが存在する。引用文である。その本の話の展開の根拠として外部からの話を引っぱりこんで読者に見せつける。「ここにこんな事が書かれています、だから本書の意見としては・・・」となるのだが、その本文に興味を持って読んでるのであれば当然、引用されたその本も読んでみたくなるのであります。そういう連鎖で次々に本を購入して行くのでありますが、これはその前置きとは全然関係なしにamazonで本を探してるうちにポンと現れたもの。

ひとり家飲み通い呑み 久住昌之

おお、孤独のグルメの久住昌之。これ、なか見!検索というのができるようでamazonのページの表紙画像をクリックすると中身が少し読める。小さい画像で見てたときもちょっとグッと来る表紙でありましたが、なか見!検索で拡大してみるとなんともイカした表紙である。この家飲みの雰囲気、たまらんなあ。しかも第一章がまるまる読める。それが「チャーハン de 焼酎ロック」。魅かれるタイトルだ。

ちょっと前に気づいたのが、焼酎とチャーハン。
これはいい。意外な盲点だった。
焼酎は麦でも芋でも米でもよい。飲み方はロックがいい。
チャーハンを食べながらだと、自然に焼酎を飲むペースも落ちるし、胃にもよい。酔うカーブも当然なだらかになる。
チャーハンの軽い油分、卵、ネギが、冷たくて味の引き締まった焼酎に合う。
想像してみてくださいな。焼き鳥とか焼き魚なんかより、焼酎ロックに寄り添ってくる味じゃないすか?熱いチャーハン。
逆にチャーハンと別の酒を合わせることを考えてみたまえ。
ビール?それは町の中華屋でチャーハンを食べるときに「とりあえずビール一本」な、どこかおざなりな、慣例的なあれでしょ。味のことよく考えてないでしょ。
缶ビールを、島かどっかアウトドアで男同士わしわし椎名誠的に飲む、というようなときは、合うでしょう、ビールとチャーハン。
だけど、ひとりしみじみ、ビールを飲んで、チャーハンを食べる。それを繰り返すって、どうよ。ごはんと炭酸。ごはん、炭酸、ごはん、炭酸。腹、張らね?最初はいいけど、じきに虚しくならね?
日本酒とチャーハン。なんか日本酒を油で汚してる感じしませんか。
紹興酒とチャーハン。口の中がベタつかないですか。紹興酒の糖分で。
ワインにチャーハン。トレンチコートにビーチサンダルってセンスじゃない?
チューハイにチャーハンは、ちょっとなんか、サムイ。ゆとりがない。
ホッピーにチャーハン。不真面目。軽薄。ちゃんと考えて。
こう考えていくと、焼酎ロックとチャーハンは、実にしっくりくる。

ちょっと長いですが、引用しました。もうこのくだらないこだわり感が、引用文タイプしてる間もどうでもいい気分にしてくれるのですが、でもええ感じだね。東京の狭いマンションやアパートで一人飲みするぼっさりした空気感は120%伝わって来ますな。この一章分だけで完全に掴まれてしまいましたわ。次回の本発注の際は必ずこれを注文する事でしょう。

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久住 昌之

日本文芸社 2012-01-30
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