二十歳の原点 – 高野悦子 2013年09月16日

以前から読んで見たかった二十歳の原点、1960年代後半の学生運動が盛んな時期に自分の母校立命館大学の学生であった女の子のいろいろな思いを綴った日記形式の物語。最後にこの子は貨物列車に投身自殺を遂げてしまう。

当然の事ながら、この当時の立命になんて自分は通ってるわけはないんだが実は自分の父親も立命出身でこの高野悦子さんが通っていた時代と多分かぶっている。なのでうちの親父に何度となく聞かされた当時の立命での学生運動の様子や70年代の京都の大学生の風俗に興味を惹かれて読み始めた。

が、やっぱり大学生って言ったって純粋無垢でモノの考え方がピュアですな。今の自分からしたら「そんなもの考えている暇がねえや」ってバッサリ切り捨ててしまいそうな自分の中にほのかに小さくうごめく思いを何度も何度もかみしめてこの人は悩む。とにかく悩む。

その真剣がゆえに逃げ場をなくした迷いにこっちも心苦しく、高校生や大学生の頃って確かにこういう気持ちを少なからず持っていたということを思い出すのであります。

30後半になったおっさんになったからこそ、「こういうことで悩まない方がいいんだよ」とさらっと言うけど、そう言うまでにある程度悩まないと答えが出ない、その途上でパンクしてしまう人もいる。そう考えながら、また「真夜中のカーボーイ」を見ている時のような「昔のともだち」にあった感がムクムクと。

だんだんとこっちも文章にはまり込んで行く感覚を覚えてきて、「あああ、重いなあ」と読みながらため息をついていた。最後どう〆るのか、気分的にかなり尾を引きそうな予感もして戦々恐々としながら読み進めたが、思ったよりは残らない幕切れ。ただ、近いうちうちに他の日記も読んでしまうだろうな、こりゃ。

ちょっとうちの親父に買ってあげてどんな反応を示すか見てみたい気もする。心情的にシンクロせずとも当時の京都で生きた世代の人ならば、荒神口のジャズ喫茶「しあんくれーる」など時間の経過に埋もれた懐かしい名前を聞いて忘れかけてた時代が頭のなかをかけめぐるかもしれない。

あと、自分は読み進めながら広小路がどうとか、寺町と西門がどうとか、地理的に??と思うような記述が多かったがよくよく考えると僕の通った衣笠キャンパスではなくて、広小路キャンパスの話だったんですな。途中まで全く気づかなかった。しかし、この「二十歳の原点」、映画版もあるらしい。が、まったくDVD化などされておらず入手不可の模様。見てみたいのう。サントラは四人囃子がやってるというから余計に興味が惹かれるが。。。

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さあ、ちょっと重かったので次はちょっとドライなアメリカのビジネス本でもよむかな。。