グーグル ネット覇者の真実 追われる立場から追う立場へ 2013年01月11日

Google 貼牌冰箱(Google Refrigerator)

年末にKindleで買ったGoogle本。著者はITジャーナリストのスティーブン・レヴィ Steven Levy。ニューズウィークやWIREDなんかで記事を書いているライターで1999年からGoogleを取材し、200本以上の関係者のインタビューなども行なってこの本が執筆されている。この本は2012年7月の発行なので内容も新しく、Googleの検索エンジンの誕生からGoogle+の登場の部分までが対象になっているのでほぼほぼ今までのGoogleの活動が網羅されていて、その内側を覗けるめちゃくちゃ興味深い内容。

思い返してみれば2000年代はインターネットはGoogle、コンピュータやH/W周りはAppleが主役の10年だったなあと。2000年代前半のGoogleの勢いの良さやリリースするサービスのどれもが新しいアイデアと質のよさで輝いておりました。2000年代の終わりはサービスの乱発やいきなりのサービスの終了があったりでちょっと迷走気味なところもその舞台裏をきっちりと描き出してくれているので訳者の方があとがきで書かれているように「ああ、あの時のGoogleのアクションってのはこういう経緯だったのか」的なうなずきをしながら楽しくて楽しくてグイグイ読めます。

しかし、やっぱりGoogleのアドワーズ/アドセンスって莫大な利益を絶え間なく生み出してるんですな。Googleが他のソフトウェア会社を買収してそのサービスを無料でユーザに利用できるようにすることが多かったが、買収のために大きな費用がかかったとしても、検索エンジンを利用するユーザが1%増加するだけでも利益が増える幅ってのは凄いんだろう。それを1,2年続ければすぐに元を取れちゃうよってな世界なんだと思う。しかもGoogleが抱えている検索履歴やユーザのウェブの閲覧履歴って解析すれば母体数の多さを考えるとどんなマーケティング会社も太刀打ちできないほどの統計レポートを作成できるんですな。

これに対抗できるのって確かにFacebookぐらいだけなんでしょうけど、Facebookの中の閉じられた世界ということと、その中で展開されている人間関係もインターネットほどの開放性はないと思うし、その中でやりとりされるアクションは簡単なイイねのようにちょっとした感情ベースで起こるものだと思うけど、Googleの対象としてるWeb上のデータってのはある程度推敲して理性的にまとめられたデータを基本にしているように思う。個人的にはやっぱりそのような理性的なデータの集積のほうがFacebookのデータよりも有用なような気がします。Facebookはまだ明確な収益化の方程式を見つけられていないってところもあるし。

今までのGoogleの経過をこの本を読んで楽しみ、これ以降Google+以降のGoogleがどうなっていくのかも楽しく見守っていける読み応え抜群の一冊でありました。

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スティーブン・レヴィ 仲達志

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