タイのスルメ売り 2011年10月27日

いつものようにイサーン料理屋で飲んでるとこれまたいつものように飲んでる客にいろんなものを売りに来る連中が居る。スルメ売り、宝くじ売りが特に多い。一日に何回も見かける。ちょっと写真が取れたので説明を。


↑ 後ろから盗撮。スルメ売り。


↑ こちら宝くじを売りに来たおばちゃん。

これが典型的なスルメ売りの形態であります。自転車の荷台に七輪、スルメを挟んで伸ばし柔らかくするためのローラー、スルメディスプレイ用の枠があり洗濯バサミでスルメを止めるてある。

自転車は別にして、荷台に取り付けるスルメ売り用の台なんか1000B程度じゃないかと思われる。自転車は多分2000~3000B。5000Bもあれば初期投資というか設備費は足りる。後はスルメの仕入れ。どんな人間でも取り敢えず始められて次の日の食事分ぐらいは稼げる。宝くじ売りなんかもっと設備費や安い。簡単な箱一つ買ってくるだけである。しょーもない仕事だと思うけど、家庭の事情なんかで昼間に時間の都合のつかない人でも稼げる、どんなに仕事にあぶれてもこの程度の資金であれば誰かに借りれば始められる。屋台じゃなく、移動式だからショバ代もいらないのである(通常定位置で商売してる屋台は土地の持ち主にショバ代を払う)。飲み屋に売りに来たって別に店の人間も文句を言わない。放置プレーである。そしてみんなそれなりに買ってくれるのである。

タイではこういう風に素人が昨日から始めました的な商売を皆安い値段でよく利用している。詰めが甘くたって安いし、細かい事を気にせずミクロな経済を回しているのであります。今回の洪水で仕事にあぶれたおっちゃんがとりあえず手持ちのボートで個人タクシーをやってみる、というのも同じ感覚。仕事にあぶれても簡単な道具で次の日のメシ代ぐらいを稼ぐ方法がある。日本の場合、日雇いや派遣なんかは一日単位で仕事あるかもしれないけど、個人が即席に商売始めようとしても誰も見向きもしてくれなくてうまくいかんよね。

僕は社会が保障などを手厚くするよりこういう素人のミクロな商売を受け入れる社会のほうが弱者にとっても健全な世の中なんじゃないかと思ったりしてるんですけどね。。。日雇い、派遣の場合はすぐに会社が、上司が、って言い訳がし易いし、小さな商売でも自分の責任で全部やるほうが時間の都合もつくし、ステップアップも自分次第ってところで夢が見れるんじゃないかと思う。。。