大東京ビンボー生活マニュアル 2014年11月09日

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ミニマリスト系のブログを読んでいてそこで紹介されていた漫画。主人公は東京の6畳共同便所のアパートに家具もほとんど持たずに一人暮らし。定職も持たず(というか仕事してるのかどうだかも話の中で明言されていない)日々本を読みながら、貧乏生活を楽しみ地元の人とのふれあいを楽しむ。。そんなお話。

漫画は80年代後半に出版されているのだが、空気感は70年代の日本のようなゆったりとした流れなんだが、70年代というと「男おいどん」で男・貧乏・空威張り的なちょっと湿っぽいところも多いに出て来る印象です。80年代の漫画で思い出すのはいましろたかしの「ハーツ&マインズ」や「トコトコ節」なんかだけど、やっぱりちょっと今の自分に納得できない鬱屈した空気があるんですな。

それからするとこの大東京ビンボー生活マニュアルは、その貧乏生活に後ろめたさや空威張りなんてものはなく、実にあっけらかんと消費消費の世の中から自分を切り離して、自分の行動半径の中の人とのつながりを純粋に楽しみ生きている感がある異例の作品。

僕はアマゾンKindleでモーニング版の電書1巻から5巻までと その後の特別編集版「なにもないシアワセ 大東京ビンボー生活マニュアル」を読んだ。いつもの決まり文句ですが、「海外に居ててもこんな日本ローカルな本をいつでも読めるんだからいい世の中」ですなあ。しょうもない情報過多の時代だと思うけどやっぱり便利でいい。

この主人公はホントによく寝る。とにかく作風がのんびりしていて、「なにもないシアワセ 大東京ビンボー生活マニュアル」には作者のインタビューなんかも載っているんだけど、実際には割りと文学好きな作者の理想の貧乏東京生活とそれを屈託なくエンジョイしている男を描いているそうで実際にこのような生活を本当にエンジョイしていけるかはいろいろとあるだろう。

でもホントに懐かしい昭和の匂いがしますなこの本。

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最近、デジタルデバイスとかを持ち歩いているから、雨の中「濡れる濡れる」といいながら走ることもなくなった。だって濡れたら一つ6万とか7万とかする携帯電話がぶっ壊れるかもしれないので気が気でない。昔みたいに手ブラで雨の中走ってみたいなあ。こう考えるとスマートフォンを買う金を持っていてもそのおかげで電話が心配で簡単に雨の中外を走ったりできないなどいろいろと行動を制限されてしまうあたりは確かに何が豊かなんだかはわからなくなってくる。

話変わりますが、この本、どこかで見たと思ったら昔大学の部室に置いてあった本だ。大学の時に参加していてサークルは自主映画制作のサークルで本好き、マンガ好き、音楽好き、映画好きの与太者の集まりだったからこういう空気感は憧れだったんだろうかね。当時僕は多分絵が穏やかすぎて読んでなかったんだと思う。内容はまったく記憶ない。

漫画は一巻から五巻までで最終話は唐突に終わる。びっくりするぐらい唐突で、今までぼんやりとした人物描写が相変わらずぼんやりとしたまま物語は終わりを迎える。「なにもないシアワセ 大東京ビンボー生活マニュアル」は一巻から五巻までのベスト盤的なセレクションと解説、作者インタビューなど。物語の設定をもっと知りたくてこちらも買って読んでみるも結局ぼんやりとしたままという結末。まあたまにはこんなお話もええでしょう。