神泉駅と言えば思い出すのは東電 OL 殺人事件 2018年03月19日

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金曜日の晩は、渋谷の WOMB というクラブで終電の終わった1時半から Maika Loubte のライブがあるというのをツイッターで見かけて、ふと思い立って行って来ました。
で、 WOMB というクラブは渋谷駅よりも東急の神泉の駅の方が近くて、とりあえずタクシーでそのあたりまで行って、歩いて WOMB まで。WOMB という箱はビルの1階から4階くらいまであってなかなか大きなクラブ。そしてもう普段自分が行くようなイベントでは見かけないようなエロい兄ちゃん姉ちゃんがわんさか居てちょっと疲れた。

で、神泉駅ですが、この駅といえば思い出すのは東電 OL 殺人事件。駅前すぐの居酒屋のある古アパートの1階で亡くなっているのを発見されたはず。で、せっかくなのでその現場の前に立ってパチリ。

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東電 OL 殺人事件は本も面白いし、この事件をテーマにして作られた園子温の「恋の罪」という映画もめちゃくちゃ面白く、感慨深い。いつかこの居酒屋でも飲みたいものです。

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東電OL殺人事件 / 佐野眞一 2016年12月23日

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園子温監督の「恋の罪」がめちゃくちゃ面白かったのでもうちょっとこの物語のベースになった「東電OL殺人事件」の詳細を知りたくなってアマゾンのkindleで売っていた佐野眞一氏著の「東電OK殺人事件」を買ってみた。

実は映画に負けず劣らずこの犯罪ルポが面白いのだ。

それほどに事件の背景に隠された闇が多く、根本的に人を魅了させる要素が多い事件なんだろう。被害者の家族にしたら身内のあまり自慢できない
ようなプライベートを暴露して何が魅了させるだ、という話になるでしょうが、人間の欲望の根本を改めて考えさせてくれるような深い深い闇があります。

被害者の「昼の顔:一流企業のエリート女性社員、夜の顔:渋谷の道玄坂で立ちんぼで客を拾う売春婦」という両面性の不可解さの中にどんどんと著者自身も魅了されていっている。この本の一人称は著者自身で事件に対する著者の取材の進捗と、取材をこなすごとに事実を知り、より深まる著者の被害者への思い、そしてその著者がまさに殺人現場に立つ時の描写などが叙情的で、ぐいぐい読み進められます。

犯罪ルポっていうジャンルの本はこんなに面白かったのかと勘違いさせてくれます。(たぶんこの本が面白いのは根本的に事件の背景が他の事件にないほど不可解なことが多すぎるからでしょう)

事件としては1997年に起こったことなので改めて考えるとすでに19年もの歳月が経っている古いお話なのですが、今読んでもとても面白い。そして上の「恋の罪」も絶対これを読んでシナリオ書いてるな、と思うほど映画ともリンクしてます。映画見てから本を読むか?本を読んでから映画を見るか?僕の場合は前者でしたが、多分本を読んでから映画見るほうが1.3倍ぐらいは面白いような気がします。

とかく、映画「恋の罪」と書籍「東電OL殺人事件」両方ともがイチオシの面白さです。

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深川通り魔殺人事件ドラマ版・大地康雄怪演18歳! 2016年08月01日

なぜかYouTubeに深川通り魔殺人事件のTVドラマ版があがっていて、ご丁寧に当時のCM付き完全版と称してフルに視聴することが可能。

で、せっかくなので全部見ました。

いやー、すごい。小学生の頃に無理やり見せられた「ダメ!覚せい剤STOP!」系の啓蒙映画のごとく、全編を通してずもーっとした重い空気に包まれた作品。80年代、90年代に「電波系」という言葉が流行った(というか今も使われてるか)けど、ガロの「毒電波」とこの深川通り魔殺人あたりでこのキーワードが世に(メディアに)出てきて、根本敬、大槻ケンヂあたりがさらに展開していった感じでしょうか。

いやー、しかし大地康雄の演技が素晴らしいですが、この人に川俣軍司の18歳とか20歳の時分の役をやらせるのには無理が。。。さすがに刑務所に入る、出るを繰り返すあたりになってくると風貌に役の年齢が追いついてくる感じにはなってくるが、それでも27歳とか。まあ、他に演じてくれる役者もあまりいなかったんでしょうな。

オススメだけど、万人には決してオススメできない電波仮体験ドラマです。早めに見とかないとこれはそのうち消されるんじゃないかと思います。

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凶悪―ある死刑囚の告発 「新潮45」編集部を読んで 2013年09月07日

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日本に一時帰国した際に大学の時の友人たちとメシを食いに行って、映画「冷たい熱帯魚」の話になった。その時に友人から教えられたのがこれ、文庫本「凶悪」。kindleで551円。

これもまた、「冷たい熱帯魚」同様、現実の殺人事件をベースにしたストーリーで映画化されている。ちょうどこれから公開になるはず。この凶悪は殺人事件で逮捕、服役中の犯人がジャーナリストに対して警察が感知していない余罪を告白しだして、その中心人物だった「先生」と呼ばれる男を逮捕させるための復讐劇と、ジャーナリストが告白の検証、裏付けなどに奔走する姿、警察に上申書として3件の殺人事件の報告書を上げ、先生逮捕に至るまでの警察の動き、メディアの動きを追ったもの。

実際に読んでみると、以前読んで強烈な印象を持った「冷たい熱帯魚」の愛犬家殺人の話とは異なり、この「先生」は実に冷静で食い物にする相手を選ぶ感覚も、家族がすでに全員死亡して子供もいない孤独な資産持ちの老人や、素行が悪く家族からも鼻つまみにされている会社社長が経営が行き詰まり、借金まみれになっているところに整理してやると入り込み土地やなんだかんだを奪ったあとに殺してしまう、また殺し方も半分アル中、糖尿病持ち、借金まみれ、の人間に過剰に酒を飲まして病死や自殺に見せかけるなど、時間と手間がかなりかかりそうだけど割に合理的で足が付きにくそうな手順を取っている。また、「先生」自体はいざ自分で人を殺さないといけないという場面では中々実行できずに未遂のまま終わってしまうなど、あくどいけど感覚的にはまだ人間として理解できる行動なのがちょっと読後の印象としては地味なところか。

愛犬家殺人のほうは死体の証拠隠滅を図るため、包丁で死体を捌いて骨と肉に分け、ご丁寧に肉の方はサイコロステーキ大にカットして、後で川に捨てた際に魚が食べたり、微生物が分解しやすいようにするという念の入り方だが、対象は人体であってこれを眈々とこなす神経が凄い。女性の死体を死姦したり、「俺は殺しのオリンピックがあるなら間違いなく金メダル」というような発言など、実に社会生活の一場面のような感じです言ってのける感覚が、この犯人の化け物的印象を深くする。

神戸の連続自動殺傷事件の犯人のように殺人という、反社会的、非日常的な行為を行うことを自分を解放する高尚な儀式とするような大義名分めいた意味付けもなく平然とここまでの作業をやってしまう愛犬家殺人の犯人はかなりの怪物だと思う。こういうのを見て(読んで)しているとごく少数だろうが、こういうまだ見ぬ怪物が今もどこかで世間の目をかいくぐってのびのびと社会生活をしている可能性を思うと結構ぞっとする。相手は日常の作業と同じ感覚で平気で人を殺すからこちらがどんだけ頭使って牽制しようが、その努力を一気に飛び越えて狂気でもってこちらにやってくるだろうなぁ。。目をつけられてしまった段階で多分一般の人間は勝ち目がないな。。。

そう考えるとこの凶悪での「先生」のマインドはあくどいけど、まだまだ一般常識人。愛犬家殺人から比べると、ショックの量は少なかったかな。個人的には愛犬家殺人の犯人のほうがもっと凶悪な人間だとおもってしまうのであります。

話の内容的にも、新潮の記者が告白を受け、その供述の検証、裏付けを行っている際の細かな動きや気持ちのブレなどがしっかり描かれているんだが、警察に上申書を提出してからは流石に警察の捜査班の中には入れなかったか、その後の経過はかなり簡略的にまとめられてるだけでちょっと中途半端。

というわけで実際に起こった犯罪の手記などを読み慣れてるとちょっと地味な印象であった書籍・凶悪でありました。後はリリーフランキーとピエール瀧という奇妙なキャスティングの映画がどんな感じなのかですな。。

次は、北九州監禁連続殺人事件の「消された一家」を読むか。。。

「少年A」14歳の肖像 2013年08月15日

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何でこの本を買ったんだろうと読後にこの本を見つけた経路を思い出せないでいるんだけれども、kindleなんで多分いろいろ本を検索している間にリコメンデーションで表示されて値段が安かったからこの機会に、と買ったもんだろう。

僕が大学生の頃に起こった神戸連続児童殺傷事件。90年代のエポックメイキングな事件の一つ。個人的には世の中の流れを変えるような大事件として

宮崎勤:東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件
自然災害:阪神大震災
麻原彰晃(オウム真理教):地下鉄サリン事件
少年A:神戸連続児童殺傷事件

という事件(震災は天災だが)がとても印象に残っている。大学生当時、少年Aの事件後に悪ふざけで友人たちと一緒に事件後にタンク山に登ろうと言って深夜一時から出かけて行って真っ暗闇の中を歩いて行ったら、足元でガサガサと音がなって何か踏んだ感触があるなと思ったら、お供え物を踏み散らかしていたりと、非常に罰当たりな事をして流石に申し訳ない気持ちになり、かと言ってそんな時間にそんな場所で何をするでもなく、中途半端な気持ちで帰ってきた記憶もある。んで実家が大阪で地理的に近いこともあって妙に親近感のわく事件だった。

いろんなメディアが当時報道してたけど、改めてその経緯を読んで見たくなった。最初、何処かの新聞社か出版社の記者が取材したものをまとめたものかと思っていたがWikipediaで著者を調べてみると、ノンフィクションライターとのこと。少年Aの記述の合間合間に挿入される、著者が現地を訪れて見たその風景を描く文章が何とも小気味いい描写で少年犯罪事件のレポートでも文章力のある新聞記者が書くと多少叙情的というか感傷的になるなあと感心していたが、作家ということであった。なるほどやっぱり文章力があるのねと思った次第。

少年が殺人に至るまでの心象風景の移ろいを段階を追って細かに描いていて、少年Aについて知る、という読書の目的と著者の少年Aに対する思いや、共感や同情の念を感じて読むのが面白い作品。ただ個人的には佳作かなあ。ざっと読み通して、それほどは印象に残らなかった。。。

「少年A」14歳の肖像
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