修身論 小林よしのり 2011年10月04日


↑ 本書で一番好きなコマ。

前回、ニコニコ動画の『激論!“修身”は必要か?』で小林よしのり氏とひろゆき氏の対談を見ていて買ってみた一冊。

久々に読むゴーマニズム宣言、まるまる全部書き下ろしの感覚で読めるかと思ってたが実際は、過去の作品の再録がほとんどでちょっとがっくりしたが、とはいえ、きちんと小林よしのり氏の一貫した「身の程の計り方」が描かれている。

自分の自我やら、夢でパンパンに頭の中が膨れ上がりつつも、実社会の中でその鼻を折られながら、堂々巡りの考えを経て

「しかし、この現実の中で生きねばならない。人のせいでなく、社会のせいでなく、すべて自分のせいなのだ」

と、嫌々ながらも自覚して自分を強くしていくステップ。日本であれ、僕の住んでいるタイであれどちらにせよ人間が食うためにはこの過程が絶対的に必要なんだが、実際に今周りを見渡してみるとこれを避ける人間ってのは多い。僕はやってます!と胸を張って言うつもりもないが、やるしかなかったので嫌々でもこうやって少しづつ新しい社会を見ている。その中できっちりと自分の社会の中の立ち位置と自分の才能ってのは割と冷静に見れているような気がする。均衡を保ったストレスを維持している感覚。

基本的にはそういう部分とどう付き合うかが書かれているのかなと思っている。

さらには自分の死を見つめ、自分の死をどのように自分で決めるのか?人間は死するときも人との関係性の中で死していくのであるので、自分の最後を自分で選択するというのが最後の修身論となるのであります。ホリエモンは著書の中で死が一番の恐怖と言っていた。フランクザッパは前立腺ガンを告知されて、死期を計算して「間に合う!」と考えて、死ぬ直前まで自分の過去作品をリマスターして再リリースして死んだ。確かに死に方は自分の生き方の大事な要素ではあるが、まだまだその時期を想像することすらできない。。。

と、まだまだ読んでいろいろなことを考えるきっかけを与えてくれる良書だと。最後のあとがきにはゴーマニズム宣言が小林よしのり氏の事務所でどういうステップを経て作成されていくかが細かに書かれていて、興味深い。本人がシナリオを書き上げ、秘書が目を通し、スタッフ全員が目を通し、編集者が目を通し、という多くの人の目を経て書かれている事実。数多くのステップを経て完成する。小林よしのり氏ほどの売れる作家であるからこそできる作業。そこでメールやブログのような一時の感情で発信出来てしまうメディアと比較して時の流れを経ても読める作品として完成したと述べているがこの点に関しては若干短絡的な考えかなと。本の中でも「メカは嫌い、ケータイもパソコンも使いこなせない」と告白しているが、願うべくはもう少しインターネットに対しては勉強してもらうともっと面白い考えが読めると思うのだが。やっぱりまだインターネットって他のメディアと比較してその良さをわかるにはちょっと技術的な知識が必要になるんだな。だから「メカに弱い」って言う人にはまだまだわかってもらいにくいんでしょうなあ。。。

ゴーマニズム宣言PREMIUM 修身論 ゴーマニズム宣言PREMIUM 修身論
小林 よしのり

マガジンハウス 2010-07-15
売り上げランキング : 8279

Amazonで詳しく見る by G-Tools