travelling with typhoooooon

次の日、早起きしてちゃんと朝の7時半には中正国際空港にたどり着きましたよ。

ほんでもって待ちかまえていたのは香港を襲った台風。朝8時半の便だから8時ぐらいには搭乗口がオープンになるはずなのにずーっと開かない。中国語でなんかアナウンスがあったあと、ゲート前で待っていた人が散っていく。

「どないしたん?」

と美人のお姉さんに聞くと、

「香港に台風が上陸してて、今とても着陸できる状態じゃないの。だから時間を見計らってるのよ。」
 
と優しく応対してくれた。

7月にアジアを旅行するもんではありませんな。とにかく台風がつきまとう。韓国に行った時は済州島に台風が上陸してて、青島までの船がちゃんと出航してくるか心配だったし、広州に行けば大雨で东莞あたりが大洪水。そして台湾についたら台風だし、香港へ戻ろうとしても台風。とにかく台風と一緒に旅行してるようなもんですわ。

既に出国続きは終えてるので、空港のロビーで搭乗待ち。結局、11時ぐらいに飛行機に乗れたんですが、それまでの間、コーラやらサンドイッチやらが無料で振る舞われたのでここぞとばかりに3人分ぐらい奪って食べる。

そしてやっと飛行機は離陸しました。台北は快晴。しかし、香港は台風とのこと。しかも飛行機が離陸してから、

「香港に向かってるが、もし強風で空港に着陸することができなかったら台北に戻りますのでご容赦ください。」

とのアナウンス。これはよほどきっつい台風が来てるんだろうなと思いつつも、今更台北に戻りたくはないので、

「どれだけ揺れてもワシは耐える!だからパイロットも気合い入れて操縦せい!絶対台北には戻るな!」

と心の中でパイロットにエールを送る。その後、予想通り香港に近づくにつれて飛行機は揺れ出す。

座ってるシートの前に液晶画面で、飛行機の航路を表示しているが見事に蛇行しながら前進している。そしてさらに揺れがエスカレート。南シナ海上、香港から100キロぐらいのところ。そろそろ着陸態勢に入るかな、というところで飛行機のマークがぐぐぐっと旋回していく。

「???」

そして今までの進行方向とは逆の方向を向いた。これは、、、引き返すの??

「アホ!これぐらいやったら台北に来たときと同じぐらいの揺れや!これやったら大丈夫やろう!行け!香港!行け!」

と静かに念じる。すると、飛行機はさらに旋回してちょうど一回転した。そしてそのまま香港に向かってる。

「???」

何をしてたんかまったくよくわからんが、とりあえず香港には向かってるようなので安心。そして着陸準備でシートベルトを締めるように言われる。窓の外を眺めると、眼下の雲がどんどん近づいて来ている。

そしてまっしろの雲の中に突入するやいなや、飛行機が急降下。うしろの方で女の子が「ああああ」と声を上げている。こっちは声すら出ないよ。必至に肘掛けを握りしめて全身硬直。

「ぎぎぎ、、、こ、これは、やっぱ怖い。誰か助けてくれ!」

雲を抜けると眼下に海が。波高え!ていうか窓から海しか見えねえ!だいぶ傾いてるのか?ほんで一旦目を離してまた窓を見ると今度は雲しか見えねえ!かなりグラグラしてんな。そして着陸前なんでだいぶスピードを落としてるせいか凄まじい揺れ。急降下!急上昇!右に!左に!そして突然のジェット噴射で離陸時のような急加速!ジェットコースターでもこんな動きは体験したことないわ。肘掛けをぎりぎりと握りしめる。もう汗だく。

そして15分ほどこの強烈な揺れが続いて、

「いつ着陸するんやろう?」

と思った瞬間に窓に滑走路が見えた!

次の瞬間、ギュギュギュッ!!着陸だ!回りの客が一斉に「Yeahhhh!!!」「Waoooo!!」。そして拍手が!

ブラボーブラボーだ!パイロット、ようやった。我慢したかいがあった!Now we are in Hongkong!

着陸までは死ぬほど揺れたが、まったく不安定な要素なしで見事に着陸したパイロット。Good Job! かっこいいぜ!そして飛行機から降りて、喫煙室に向い、30分は体が動きませんでした。つ、疲れた、、、。

本来、香港の空港は、香港入国手続きがある前にマカオ行きや中国の各地へフェリーが出ていて直接他の国に入国できるようになってるんですが、台風ですべて運行停止。どこにも行きようがなく、しかたなく、香港で再度一泊したのでした。