仁義の報復という変わった本 2017年04月05日

The Murder Scene

昔から埼玉の愛犬家殺人事件というものに非常に興味を持っておりました。というのも特殊な生い立ちを持つわけでもなく、家業がヤクザというのでもなくごくごく一般人が、何人も人を殺し、遺体をサイコロステーキみたいに切り刻んで証拠が残らないほど焼いたり、自然の河川で細菌に仕事をさせて人間を綺麗に土に戻してしまうような怪物が平和な昭和、平成の日本の社会で平然と生きているということに戦慄を覚えました。


愛犬家連続殺人 志麻永幸 2012年08月22日 | 野暮天ワールドワイド・YABOTEN the Worldwide

映画「冷たい熱帯魚」 2013年08月16日 | 野暮天ワールドワイド・YABOTEN the Worldwide

人間解体! 2012年10月26日 | 野暮天ワールドワイド・YABOTEN the Worldwide

普段から美辞麗句を並べ立てるような文章は大嫌いで見栄えのする文章なんかは心がけて書かないようにしてる自分ですが、この事件を知った時は本当に「戦慄を覚え」ました。

というのも本当に見た目には一般人で全然区別が付かないから。例えば毎日通勤の途中に接してる駐輪場のおっちゃんとか、弁当屋のおばさんとかが実は10人以上の人を殺している殺人鬼で平然と一般社会の中に溶け込んでる事態ってゾッとしません?なんらかの縁でそれらの人と親しくなって揉めてしまったらたぶん簡単に殺される。。。証拠が残らない方法を知ってるんだものその人らは。。。

たぶんそこまでの怪物に出会う確率というのは交通事故よりも低いのかもしれないけどもその事件の実態に非常に興味を覚えたことだけは確か。なぜ興味を持つかというと、ひとつの防御本能かもしれんけど、自分を守るためには悪の手の内も知っておかないと。。。ということで、もしそのような事態に巻き込まれた際に出来得る限りその兆候に早く気づくためでもあります。

で、話長くなりましたが、この本、「仁義の報復」であります。

こちらは埼玉愛犬家殺人事件にて殺害されたやーさんの親分が当時を振り返って述懐するという本。
結構ネットのいろんなところですでに書評がいろいろ書かれているのでそれ以上にあまり目新しく書くこともないかと思うのですが、なんと言ってもこの本のすごいところは親分の決め台詞「チャクラが開いているから私にはわかるのである」です。いきなりこんな論理展開が出てくるので読んでて思わず「うおっ」と声を漏らして目を離してしまい、しばらく天井を眺めるなんて反応をしてしまった。はっきり言って本を読んでこんなリアクションをしたことは殆ど無いですな。本を通じて気が送られてるのだと思います。その気に自分の体が反応してしまったのかもしれない。

その先を読んでいっても「チャクラが開いてるのでわかるのである」という論理が頭から離れない。90年台初頭の暴対法施行時のやーさん社会の苦悩がとつとつと書かれているのであるが、イマイチ頭に入ってこない。。。

しかし本の内容が組長が書いた部分と、補足で編集スタッフが書いたところとが完璧に分かれていて(特段そのような注意書きはないが)読んでてすぐわかる。。。もう少しシームレスに読めるように工夫してくれれば変な違和感を覚えずに済んだかもしれない。しかし親分は以前僕も読んだ志麻永幸著の「愛犬家連続殺人」について著者志麻永幸が警察の取調べ時に捜査に協力する上でいろいろと司法取引的な協定を捜査当局側と結んだ結果事実とはかなり異なることを書いていると述べられております。とりあえずは「うーん、そうなのか。。。?!」と微妙な心境ではありますが、また後でこのブログにも書こうとは思ってますが最近読んだ篠田博之著「ドキュメント死刑囚」を読んでも思いますが警察ってかなり警察側の犯罪シナリオありきで捜査をしてないか??捜査が進むに従って証拠証言に合わせてシナリオを適切に修正かけて捜査してればいいけど、どうにもシナリオ有りきでシナリオにそぐわない証拠を否定しているように見えるんだが。。。ホントに大丈夫なんだろうか?それともこういう話は出版物上での演出??こんな年齢になっても未だに大人の社会を驚きとともに勉強中な毎日です。。。

仁義の報復 元ヤクザの親分が語る埼玉愛犬家殺人事件の真実
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