“iRiver Story eBook Reader Review” photo by Andrew Mason
こちらの本もKindleで購入。確かセールやってて500円ぐらいに値段が下がってたし、以前どこかのサイトで紹介されてて読んでみたかったから安いうちに購入。
2010年の発行の本なんでちょっと古いけど、著者はアメリカで出版業界に長く勤め、現在はリテラリーエージェントとして活躍してる人で2000年代ぐらいからアメリカでその目で見た電子書籍の潮流を記してある。結構読みやすい本でサクッと読めてしまうのだが、一番興味深かったのはアメリカにおけるマスマーケット・ペーパーバックの扱い。昔からあの日本の書店の洋書のコーナーに置いてあった素っ気のないザラ版紙に印刷された豆腐のようなブロックの本、外人が読んでるのを見ても折り返してたり、背表紙も思い切り開いて読んでるのか折り目がバリバリ付いており、ほとんどのパターンでボロボロになっているあのペーパーバック。実はペーパーバックって読み捨ての安物本という位置づけだったんですな。紙コップみたいなもんか。読んだら捨てる。この本の中でも、
かつては、空港の売店やドラッグストアなど書店以外のところにも並んでいる、売れ筋の安い本として数字を伸ばした時期もあった。したがって紙質はかなり悪く、すぐに黄ばみ、印刷も雑だ。へたくそなコピー書類のように、字が滲み、傾いたページがある。
マスマーケット・ペーパーバックは日本の文庫本にあたる、とも評されるが、実態はかなり劣るものだ。作り方も雑なら、読まれ方も雑。背表紙が割れて筋が入ることなどお構いなしにぐいぐい開いて読む人がほとんどで、中には持ち運びたいところだけをちぎり取って読んでいたりする強者も見かける。流通も他のフォーマットとは異なり、60−70年代には取次側が雑誌や新聞と一緒に扱っていたし、返品する場合、全部を返品せずに表紙だけむしり取って版元に送り、残りの本体は売り手側が自分で破棄することになっている。
〜中略〜
ほとんどの読者はずっと本をとっておくことはしない。マスマーケット・ペーパーバックは、長く本棚に保存することを念頭に作られていないし、よほど気に入った作品で無ければとっておかないからだ。だからこそ電子書籍が受け入れられやすい下地があったともいえる。
いやー、さすがアメリカ、本も使い捨てなんすね。これで長年の違和感も納得。アメリカの本てのはああいう豆腐みたいな安っぽい本だけなんか?と思ってたけど、あれは読み捨ての紙コップ的なもので、ちゃんと蔵書として残しておく場合はハードカバーの装丁のきっちりした本を買います、そういうことなんですな。
読み捨てだから電子書籍に移行するのも気にならない、というのはあるんでしょうな。日本の場合安い文庫でも新書でもそれなりの装丁とモノにこだわる人が多いからこのレベルでの移行でもいろいろ言う人が出てくるんでしょうな。まあどっちもどっちという気がしますが、僕はとりあえず海外に住んでる身なんで定価以下でいつでも本を買える電子書籍にかなり読書環境を支えてもらってるので本に関してはすべて電子書籍で問題ございません!
というわけでいろいろな電子書籍のアメリカでのエピソードが書かれておりますが、一番印象に残ったのはこういう部分でございました。。。
ルポ 電子書籍大国アメリカ (アスキー新書) 大原 ケイ アスキー・メディアワークス 2010-09-09 |