オーケンののほほんと熱い国へ行く 2015年02月04日

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前回の日本帰国時に仕入れて来た文庫本。この本はkindleで電子版が売っておらず、前回オーケンの本を久しぶりにkindleで購入した後、ムンバイマラソンを前に未読のオーケンによるインドとタイの旅行記を読んでみたいと思った。

考えてみると、タイはバンコク在住の僕がムンバイマラソンに出る前に読むんだから、これほど最適な本はなかろう。(とはいいつつ、結局読み終えたのはムンバイから二週間ぐらいたってからになりましたが。)

書かれたのは平成3年というから1991年。すでに24年前の旅行記であるが、文章を読んでいて大きく違和感を感じることもなく、不変のバックパッカーなりの自由感、モラトリアム感がぷんぷん臭ってくる。

文中、旅には「見聞を広める」と息巻いて出てくる本当に旅がスキってタイプと現実からの逃避を求めるタイプと大きく2つがあると書かれている。前者は普通に前向き、後者は後ろ向き。後者は自分のことを誰も知らない、物価の安い街で適応できない煩わしい自分の世界から離れてウダウダとモラトリアムの中にいる。本人自身も「これでいいのか?これでいーのだ。本当に??」と悩みつつ。

オーケン氏のシンパシーは当然ながら後者で旅の途中に出会うウダウダの長期旅行者と、薄ぼんやりした時間の流れの緩い旅の空が実に80年代調の文章で綴られている。でもこのバックパッカーのモラトリアムは今も昔も変わらずでちょっと前でも「外こもり」なんて言葉も現れては消えたりしていた。。。

個人的には久しぶりにこの80年代調文章に触れて前回も「今になってこの調子はちょっと辛いなあ」と思っていたが、やっぱりまだ慣れない。でも旅行記としては中々楽しめる良い本だとは思います。

まあブックオフなどで偶然見つけたらイチオシ。読んで楽しい本です。でもわざわざ探して買うという本でもないかなというところ。

また長期旅行に久しぶりに行きたいなあ、とちよっとだけ思った瞬間でした。

オーケンののほほんと熱い国へ行く (新潮文庫)
大槻 ケンヂ
新潮社
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