新しいLinuxの教科書 2017年06月22日

My Desktop: Linux (eliot.bambi.net)
↑ 2000年当初のLinuxはどんなディストリビューションでもこんな程度のGUIでした。

現在ちょっとLinuxの基本を一度おさらいしてますが、いくつかKindleで買った本の中で「新しいLinuxの教科書」という本がありました。

これ、なかなかよくて目次を見ても、

Chapter 01 Linuxを使ってみよう
Chapter 02 シェルって何だろう?
Chapter 03 シェルの便利な機能
Chapter 04 ファイルとディレクトリ
Chapter 05 ファイル操作の基本
Chapter 06 探す、調べる
Chapter 07 テキストエディタ
Chapter 08 bashの設定
Chapter 09 ファイルパーミッション、スーパーユーザ
Chapter 10 プロセスとジョブ
Chapter 11 標準入出力とパイプライン
Chapter 12 テキスト処理
Chapter 13 正規表現
Chapter 14 高度なテキスト処理
Chapter 15 シェルスクリプトを書こう
Chapter 16 シェルスクリプトの基礎知識
Chapter 17 シェルスクリプトを活用しよう
Chapter 18 アーカイブと圧縮
Chapter 19 バージョン管理システム
Chapter 20 ソフトウェアパッケージ

と、まったくの初心者からでもコマンドラインでLinux使っていく上で必要な内容がだいたい一揃え書かれていてうまくまとまっている。僕はUnix系の勉強は最初に就職した会社で一年目にベル研のUnixの赤本をずっと読ませられて、そのおかげで今も使っているUnix/Linuxの知識が身についたんだけども、その赤本を読んでたときのような感覚で、ホントによくまとまっている。ひさびさに感心。

Linux初めて触る人の最初の一冊、普段からLinux使っている人の基礎の再確認に一冊として間違いのない本かと思います。

新しいLinuxの教科書
新しいLinuxの教科書

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「大島てるが案内人 事故物件めぐりをしてきました」を読む 2017年06月09日

Apartment tatami room

なんで自分がこの本を手に取ったのかよく覚えていないが、おもしろそうなので読んでみた。ちょっと前から「大島てる」というサイトに人が死んだ不動産物件、事故物件の情報が集積されてていろいろ身の回りの事故物件情報を見ることができると話題になったことがあった。

大島てる CAVEAT EMPTOR: 事故物件公示サイト

で、事故物件をめぐる、という趣旨の本でありますが、事故物件の事情色々、事故物件とわかって住んでる人のお話いろいろといったところで、特段ホラーな話は何もない。

著者の方はいろいろと部屋でなくなった方の思いに馳せるわけですが、個人的には人が家でなくなるというのは当然のことで、自殺、殺人はともかく病死、自然死ならほぼ病院か自宅でしかないであろうし、今の世の中の仕組み上、一人暮らしの老人が部屋で一人で死んでしまって、死後の発見が遅れるという状況もしょうがないのではないか?個人的には遺体が腐乱してようが病死、自然死で人がなくなった部屋、というのは自分は家賃が安くなるなら全然住んでも構わない。

ただ、殺人自殺はちょっと自分が弱ったときにその部屋に居てはダークな感情に自分が乗っ取られてしまいそうな気がするので敬遠しますな。

ところで、「事故物件居住者のリアルな話」という章で出てくる部屋は高円寺?

部屋は、

事故物件に住んでいた男性
中央線沿線の若者に人気のある駅
比較的周りより物価が安い
駅に隣接したアーケードの商店街
アパートから自殺の腐乱死体
駅から歩いて4分程度、1K7畳の物件で相場は7万5千から8万

なんて条件。もともと高円寺在住の自分としてはパル商店街抜けたところか?と思ってしまう。さらに人間椅子の和嶋慎治氏が書いていた「屈折くん」で隣の住人が死んでいて腐乱死体で見つかったという話があったが、そのアパート??などと自分の体験と情報がオーバーラップしていらぬ想像をしてしまう。

とりあえずKindleでお値段安い215円。それほど印象深い本ではないですが、佳作。

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屈折くん
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虹色のトロツキー 2017年05月28日

安彦良和著の漫画。全然知らなかったが1990年〜1996年の作品のようです。日本一時帰国時に大学時代の友人と飲みながら先に書いた毛沢東の本のことを話していたら「ぜひこれも読んでみてください」と言われたもの。アマゾンのKindleでも買えます。全八巻。

お話は20世紀初頭の満州国での、満蒙漢韓日それぞれに混じり合い日、中、ロシアのスパイが暗躍する中の日蒙ハーフの青年のお話。以前に読んだ毛沢東本や木村政彦本で出てきた歴史上の実在の人物がいっぱい登場してきて延長線上に読んで非常に楽しめる。

いやー、戦乱の世の中、安定した統一政権がないってのは世の中こんなに大変なのかと読んでてため息が出ますな。一般市民生活のために安定政権ってのは大事ですなー。群雄割拠でどの勢力も拮抗してるなんて状態だとどこにつくのか、一回の判断が即命に関わるなんてことも多々でしょう。現状のシリア・イラクなんかもこんな状態なんじゃないかと思います。

物語はぐんぐん読み進めていけるものの、とうとつに八巻で終わる。まるで長期連載が途中で打ち切りになったかのごとく。。。主人公が本当に歴史上に実在した人物で忠実に描くとしたらそうなのかもしれないが、それにしてももう少し最後の締め方は演出してもよかったのではないかとも思う。

とはいえこの時代の人の人生はどれをとっても面白く読み物として飽きないですな。

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潮出版社/usio publishing (2015-07-31)

「マオ―誰も知らなかった毛沢東」上下巻をやっと完読 2017年05月25日

principals of China

中国人民7,000万人を死に追いやった独裁者というコピーをどこかで読んでちょっと興味を持って購入した本。とはいえこの本を購入したのは2013年の8月2日。ほぼ4年かかってやっと読み切った。

というのも、とにかく上下巻まとめて分量がすごいので読み始めては途中でストップし、また読み始めては途中でストップしの連続。しかもかなり詳細に毛沢東の個人史が刻まれてるのでしばらく読むのを止めるとどこまで読んだか、自分の頭の再ロードがなかなかできずかなり前の部分から読み直さないと流れが把握できないところも多々でした。

ただし、読み始めると内容の面白さはピカイチです。こんなに面白い本はない。なんせ中国の世界に誇れるリソースは人口で人民の命なんて使い捨て、戦争でも人海戦術、いくら死んでもどんどん兵隊を出すぞ!というような人なのでページめくるたびに我々の常識が一息でどかーんと吹き飛ばされる勢いです。

以下ネタバレになるのでこれから本を読むという人は見ないほうがいいかも(とはいいつついくつかの部分は巻頭の写真のページで構成上ネタバレしたりするのですが)。

中国共産党が発足したほぼ当初から参加して、遠隔地の共産党本部との通信に電話やインターネットがない時代に勝手に偽りの司令をちらつかせながら人の軍隊を乗っ取ったりすぐにめちゃくちゃやりだして、まったく本部の言うことを聞かない毛沢東も、地方軍閥、国民党、日本、西欧勢力がうごめく広大な中国で頭角を表すにはなりふり構わない権力欲が大事と同じく強権嗜好なスターリンのお墨付きを得て共産党幹部まで恐怖のどん底に突き落としながら中国統一に突き進み、共産党国家成立後も衰えない暴走ぶりですぐに朝鮮戦争を始め朝鮮の国土を荒野にしたり、普通に農作物の生産があるのに、ソ連からの軍事技術移管の支払いとして農作物を輸出するとして国民から食料を尋常じゃないぐらい取り上げて国内に大飢饉を発生させたり、長年毛沢東の右腕として活躍してきた周恩来を自分より早く死なせるために癌が発覚しても治療を妨害したり、とにもかくにも今の御時世にはありえない傍若無人ぶりが不可思議なカタルシスを感じます。

いやー、これも読みましたし山本直樹著の「レッド」(連合赤軍のあさま山荘事件に向かうまでの軌跡を描く漫画)も読みましたがガンガン昔の共産主義に対して持っていたイメージが崩れていきます。。。

マオ―誰も知らなかった毛沢東 上
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仁義の報復という変わった本 2017年04月05日

The Murder Scene

昔から埼玉の愛犬家殺人事件というものに非常に興味を持っておりました。というのも特殊な生い立ちを持つわけでもなく、家業がヤクザというのでもなくごくごく一般人が、何人も人を殺し、遺体をサイコロステーキみたいに切り刻んで証拠が残らないほど焼いたり、自然の河川で細菌に仕事をさせて人間を綺麗に土に戻してしまうような怪物が平和な昭和、平成の日本の社会で平然と生きているということに戦慄を覚えました。


愛犬家連続殺人 志麻永幸 2012年08月22日 | 野暮天ワールドワイド・YABOTEN the Worldwide

映画「冷たい熱帯魚」 2013年08月16日 | 野暮天ワールドワイド・YABOTEN the Worldwide

人間解体! 2012年10月26日 | 野暮天ワールドワイド・YABOTEN the Worldwide

普段から美辞麗句を並べ立てるような文章は大嫌いで見栄えのする文章なんかは心がけて書かないようにしてる自分ですが、この事件を知った時は本当に「戦慄を覚え」ました。

というのも本当に見た目には一般人で全然区別が付かないから。例えば毎日通勤の途中に接してる駐輪場のおっちゃんとか、弁当屋のおばさんとかが実は10人以上の人を殺している殺人鬼で平然と一般社会の中に溶け込んでる事態ってゾッとしません?なんらかの縁でそれらの人と親しくなって揉めてしまったらたぶん簡単に殺される。。。証拠が残らない方法を知ってるんだものその人らは。。。

たぶんそこまでの怪物に出会う確率というのは交通事故よりも低いのかもしれないけどもその事件の実態に非常に興味を覚えたことだけは確か。なぜ興味を持つかというと、ひとつの防御本能かもしれんけど、自分を守るためには悪の手の内も知っておかないと。。。ということで、もしそのような事態に巻き込まれた際に出来得る限りその兆候に早く気づくためでもあります。

で、話長くなりましたが、この本、「仁義の報復」であります。

こちらは埼玉愛犬家殺人事件にて殺害されたやーさんの親分が当時を振り返って述懐するという本。
結構ネットのいろんなところですでに書評がいろいろ書かれているのでそれ以上にあまり目新しく書くこともないかと思うのですが、なんと言ってもこの本のすごいところは親分の決め台詞「チャクラが開いているから私にはわかるのである」です。いきなりこんな論理展開が出てくるので読んでて思わず「うおっ」と声を漏らして目を離してしまい、しばらく天井を眺めるなんて反応をしてしまった。はっきり言って本を読んでこんなリアクションをしたことは殆ど無いですな。本を通じて気が送られてるのだと思います。その気に自分の体が反応してしまったのかもしれない。

その先を読んでいっても「チャクラが開いてるのでわかるのである」という論理が頭から離れない。90年台初頭の暴対法施行時のやーさん社会の苦悩がとつとつと書かれているのであるが、イマイチ頭に入ってこない。。。

しかし本の内容が組長が書いた部分と、補足で編集スタッフが書いたところとが完璧に分かれていて(特段そのような注意書きはないが)読んでてすぐわかる。。。もう少しシームレスに読めるように工夫してくれれば変な違和感を覚えずに済んだかもしれない。しかし親分は以前僕も読んだ志麻永幸著の「愛犬家連続殺人」について著者志麻永幸が警察の取調べ時に捜査に協力する上でいろいろと司法取引的な協定を捜査当局側と結んだ結果事実とはかなり異なることを書いていると述べられております。とりあえずは「うーん、そうなのか。。。?!」と微妙な心境ではありますが、また後でこのブログにも書こうとは思ってますが最近読んだ篠田博之著「ドキュメント死刑囚」を読んでも思いますが警察ってかなり警察側の犯罪シナリオありきで捜査をしてないか??捜査が進むに従って証拠証言に合わせてシナリオを適切に修正かけて捜査してればいいけど、どうにもシナリオ有りきでシナリオにそぐわない証拠を否定しているように見えるんだが。。。ホントに大丈夫なんだろうか?それともこういう話は出版物上での演出??こんな年齢になっても未だに大人の社会を驚きとともに勉強中な毎日です。。。

仁義の報復 元ヤクザの親分が語る埼玉愛犬家殺人事件の真実
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