Kindle Unlimited で久しぶりに日本の雑誌をちょこちょこ眺めています 2016年12月07日

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立ち読み感覚

読み放題サービスで小説でもなく、ビジネス書でもなく、漫画でもなく、本屋に置いてある雑誌をちょっと立ち読みする感覚で雑誌をダウンロードしてものすごいスピードで読みます。ホントにザーッと舐めるだけ、みたいな感じ。

多分僕が日本に居てたらKindle Unlimitedで雑誌をこんな読み方もしてなかっただろうけど、海外に居る身なんで、立ち読みで雑誌をパラパラめくるってことができなかったのです。特定のWebやブログで評判になってる本はKindleで買いやすいけど、雑誌は買っても面白いのかどうかわからんのでなかなかオンラインでも買う気にならんかったのです。それがKindle Unlimitedのような読み放題だと気軽に雑誌が見れるのが新しいところ。

バンコクの紀伊国屋なんかで日本語の本や雑誌を買おうと思ったら日本の3倍ぐらいの値段がするので遠ざかってましたがKindleで日本語の本を日本と同じ価格で買えるようになり、Kindle Unlimitedで雑誌の立ち読みができるようになりました。

雑誌?質?Web?

こういうふうにAmazonのおかげで海外在住組にも日本語書籍の価格破壊が起こったりしてるわけですが、改めて日本の雑誌を見てみるとやっぱりお金と時間をかけて作られた誌面はWebのニュースサイトなどと比べて質の違いは感じますな。とはいえ、スタート地点は違えどコンテンツを届けるという意味ではWebも雑誌もメディアであることに間違いはなく、これからもどんどんコンテンツを核にして紙とWebやスマホアプリの境はどんどん溶けていくのだと思います。

最近特にFB上を流れるコンテンツがくだらないものが増えていて、それに自分のCPU時間を取られるのが苦痛になってる今日この頃、雑誌的なコンテンツの質とウェブなどのオンラインメディアの手軽さと速報性がうまく合わさったメディアが出てこないかと夢想したりしております。

出口汪 「論理力」のある人が成功する 2016年08月18日

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これまた久々に読んだ出口汪先生の著作。

この人、90年代前半の間で受験生をやっていた人なら結構記憶にあるかもしれないが、現代文の予備校講師としてすごい人気のあった先生で、実際に自分は現代文実況中継の参考書などでその名前を知り、ロジックで現代文を読み解いていくという説明が非常にわかりやすくてずっとこの人のやり方で勉強していた。

さらにこの出口先生が立ち上げたS.P.S.(スーパープレップスクール)という小規模の予備校にも講義を直接聞きに参加してたほど。さらには高校3年の受験をパチンコ狂いで失敗して浪人してた時代も代ゼミ江坂校で衛星放送中継の授業を受けていた。

この先生の教えていた現代文の読み解き方っていうのは何も受験勉強に限ったことではなくて、単純に文章を感覚じゃなくてちゃんとロジックで理解して読み解いていきましょう、ということで仕事してからでも普通に使うし、プライベートで本を読むときでも使うので普遍的な身に付けるべき知識、知能だと思うわけです。それを教えてもらった。そういう点ですごい信頼していて社会人になってからもこの人の著作を何冊か読んだ記憶があります。

で、この”「論理力」のある人が成功する”の内容なんですが、社会人向けの文章の読み方書き方を指南する本でもなくて、この出口先生の生い立ちを書いた自伝!予備校の先生(といいつつ読んでみると事業家としての側面もかなり強いと思いますが)が書く自伝!このカテゴリは今まであったでしょうか??その触れ込みだけで面白すぎてすぐに飛びつき、一気に最後まで読み切りましたわ。

出口先生は大本教の教祖出口王仁三郎の子孫(ひ孫らしい)でその幼少期の話やら、受験失敗で無気力な浪人モラトリアム時代とか、予備校講師からご自分の仕事をどんどん大きくしていく話など。当然僕が通っていたSPSの話も出てきたしこの辺は僕も当時を思い出しながら読める。やっぱり90年代前半で超予備校バブルだったんですな。

予備校講師という肩書の割に様々なネタをお持ちの出口先生のこの自伝は意外なほどに面白い一冊でございました。kindle unlimitedで読めるので特にkindle unlimited申し込んでる人にはオススメでございます。

しかし、出口先生の写真と出口王仁三郎の写真が瓜二つなのが素晴らしい。。。

Bitcoinの学習本 2015年01月07日

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Bitcoinをいろいろ勉強していて、インターネット上でコストをぐっと押さえて簡単に送金ができるシステムみたいな感じのことはすぐにわかるんだが、具体的にどのようなシステムで動いているのかよくわからない。ブロックチェーン?どういう情報が載っている?ハッシュ?不可逆圧縮?どういう理屈で成り立っていてその上でどういうことすると問題が出やすいか?リスクが高いのか?なんてことをわかりたい人向けの本を。

こちらはBitcoinという技術で何が出来るのかをまとめた本。80円と非常にお安く、その分文章量は少なめで簡単にさっと読める。どういった性質のもので何が出来るのかはこれで把握出来るんじゃないかと思います。ただ、動作ロジックまではわからない。

その次に読むのにいい本。個人的にはこの本を薦めたい。僕らみたいなある程度インターネットの技術とかがわかる人間ならこの本でその仕組を勉強してどういうロジック、そしてリスクがあるのかを考える。一番最初にBitcoinを触り始めた際にWalletをインストールしてBitcoinの残金データがWalletに何か実データとして保持されているのか
それともデータはインターネットの向こう側でログインアカウントか秘密鍵かを持っていたら端末自体は紛失などしても残額は失わないで済むのか?とかそのへんがウェブの解説をちょこちょこ読んでるだけではまったく理解できなかった。

その辺はこの本を読むことでロジックを理解し、残額の紛失に備えてのバックアップだとか、盗難(これもロジックがわかると、「秘密鍵が第三者に知られて、別のアドレスにBitcoinが勝手に送金されてしまう」ことを意味するのがわかる)に対するセキュリティ対策などを自分の頭で考えていくことができるようになる良書だと思います。実際に数字などは使わずにうまく解説されてますが、やっぱり読み進めて行く上ではコンピュータって何?とかインターネットの基本原理とかは一応わかってないとちょっと読み進めるのは時間がかかるかな?後は公開鍵暗号のWikiページを何回も参照しながら読んでいけば原理は理解できるのではないかと思います。500円とお安いし、Bitcoinの面白い動作原理を学ぶのに最適だと思います。ちなみに上と下は両方共同じ著者です。

正月はこのへんの本を読み、実際にWalletをインストールしてTradeサイトで日本円でBTCを買い、さらにはGPUを買って暗号通貨の採掘までを試して過ごしていました。

クンサー – この麻薬王と知ってはならない黒い世界 2014年09月16日

Poppy Fields in Afghanistan
“Poppy Fields in Afghanistan by United Nations Photo, on Flickr”

少し前に会社の人達とミャンマーのアウンサン・スー・チーについて話しをしたことがあって、今までほとんどミャンマーの話題、政治やら歴史やらに興味をもったことがなかったなと思い、以前に買っておいてスキャンしたままになっている麻薬王クンサーの本を読んでみた。

クンサー―この麻薬王と知ってはならない黒い世界
小田 昭太郎
情報センター出版局
売り上げランキング: 196,179

今ではタイのバンコクや北部に行ってもほとんど”麻薬禍”という言葉を思い起こすこともないみたいだが、その昔タイに麻薬が溢れまくっていた(らしい)頃にゴールデントライアングルという名で有名だったアヘンの産地に、その莫大な利益を生む農産物の取引を奪い合って様々な勢力が跋扈していた。その一人であるクンサーという大将のお話。日本のテレビ局のスタッフがひょんなことからクンサーのインタビューのオファーを受け、半信半疑でタイ北部から秘密裏にミャンマーはシャン州に国境を抜け、そのクンサーの軍基地を赴いてインタビューを行い、帰路からその後までを描いた本。

それぞれの登場人物から、その経歴、言動、その裏にある意図、全てが裏社会でうごめくストリーであってなかなか裏付けが取れず不確かな話に終始しているのではあるが、あれだけ有名な麻薬地帯の元締めの大将にインタビューを敢行したことは事実のようで、その道中や過程の緊迫感や、何を信頼したらいいのかという筆者の心の揺れやらが、実に80年代のテレビ調の空気で描かれていて懐かしいVTRを眺めている気分になる。

タイの軍、警察、アメリカ、ミャンマー政府、ミャンマー共産党、中国国民党なとなど各種の団体が資金源を求めてチリチリとした勢力争いを繰り広げていて大陸らしい、まさに「勝てば官軍、負ければ賊軍」という世の政治に正義なしな真実を知らしめてくれる。世の中政府も軍も警察も、マフィアも本質的には一緒ですな。目的の前に手段は選ばずですな。

そして何かの本で読んだ通り、世界の派遣を握ることはすなわち、世界規模での麻薬の取引を握ること。直接にはやらずに、代理で取引を行うものが居て、そいつらは常に悪者だし、裏で全部の糸引いてる黒幕は常に正義の建前を振りかざす。アヘン戦争も、ゴールデントライアングルも、アフガンもすべて一緒なんだろなあ。

ミャンマーの周辺と、タイ北部はアヘン栽培というドル箱をもってたし、タイ南部はゴム農園や多分鉱物資源などのドル箱を持っていて、タイの東北イサーンにはそういうドル箱が何もない?そういう意味でイサーンてのは貧乏なイメージがあるのかね?

ミャンマーがつい最近まで軍事政権で国がなかなかまとまらなかったのは、こういうドル箱を抱えて、それを外から自由にコントロールしたい外国が単一の大きな勢力を育成させず、常に二三の勢力を均衡させ衝突させて大きな力をつけさせず、大国に歯向かえないレベルの勢力に抑えるコントロールが効いていたんでしょう。まさに仁義なき戦いの山守の組長の戦略と同じ。本質的に同じレベルなんですな。

今は多分ゴールデントライアングルは大国からもだいぶ見限られて旬を過ぎたということなんでしょうな。これからはまっとうな開発がミャンマーでも進んでいくのでしょう。

マオ―誰も知らなかった毛沢東 上
ユン チアン J・ハリデイ
講談社
売り上げランキング: 40,221

今まだ読みかけの毛沢東の一生を描いた「マオ―誰も知らなかった毛沢東」という本と並んで、世界の政治の本質を知る非常にリアルな本でぐいぐい読んでいける楽しい本でした。もう歴史の中に忘れ去られた感があり、当然ながらこの本は絶版になっているがAmazonでも古本が100円台で買えるので興味のある方はぜひ一度。