武田鉄矢がカンフーアクションをやる、冗談みたいな設定が映画化された刑事物語 2016年05月21日

アマゾンのプライムビデオで懐かしいものを見ました。なんと武田鉄矢主演の刑事物語。

武田鉄矢演じる片山という中年刑事がイマイチ世渡りが下手で勤務先の警察署で不手際があるといの一番に責任被らされて飛ばされるような人間性で、全くものごとをロジックでとらえられず、感情だけで生きてるような人であり、これまたなかなか見てても感情移入しにくい映画となっておりました。

とにかく話の中で景気のいい話がなく全体的に薄暗い映像とストーリー。

映画の中では今でいうソープランドを、皆が「トルコ」と連呼しており昭和57年の当時でもトルコって呼んでたんだっけ??と微妙な時代感の相違が。

1982年作というから昭和57年で時代的にはプラザ合意の3年前、バブル前夜の日本で明るい話が多かったろうに、とかくこの作品では戦後日本のひきづっていた日本の湿っぽさ全開であります。

とはいえ、この武田鉄矢の刑事物語はこの後シリーズ化され、最終的に5作も作られるようになった記念すべき第一作ということになるから、こんなジメッとしたストーリーでも結構売れてたんだろう。映画の興行成績はわからないが、子供の頃の記憶では金曜ロードショーだったかで結構な頻度でテレビ放送されていたように思う。

確かに武田鉄矢が蟷螂拳なる武術の使い手で、悪人をバッタバッタとなぎ倒していく、なんてシナリオはギャグでしかあり得ないでしょうから、公開当時はショッキングで話題になって売れてたんじゃないのかな。

アマゾンのレビューなどを見てると「武田鉄矢演じる片山の男の優しさを描く」と書かれていて、全く共感を持てずに見ていた自分は「世の中一般ではこれを優しさというのか??」と愕然とした。

古くさい共同トイレのアパートや、地方都市のごくごく一般的な商店街の一角などデコレーションされてない、あの時の日本の足元風景が満載。こういう生々しい庶民の生活の場を映し込んだ映像は低予算で制作をおこなっていた日活ロマンポルノを除いてそんなに多くはないような気がします。

80年代にはそれなりに話題になっていたこの作品群も90年代以降は誰も語る者がいなくなっており、微妙ではあるがそのうちに再評価の波が来るような気がするでもなく、しないでもない作品です。

2作目以降も観てみたい気がしますが、まー今んとこ金払ってまでは観る気がしない感じの一作でございました。

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↑ 何気にYouTubeに全編まるごと上がってるので見れてしまったりするが、こういう記事を書いたらやっぱりAmazonリンクは張らないとなんか片手落ちに感じますな。

「Paris, Texas」を見にThai Film Archive へ出向く 2016年02月28日

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とうわけでヴィム・ヴェンダースのフィルム・フェスティバルに行ってきました。

週末はヴィム・ヴェンダース映画祭 2016年02月24日

ヴィム・ヴェンダースの作品がどっさり上映される、ということだったが、とりあえず昔見た「Paris, Texas」を大きなスクリーンで見たい、と思ってフィルム・フェスティバルのWebサイトを調べてみたらどうもFilm Archive (Public Organization)という団体が主催してる模様。

Thai Film Archive หอภาพยนตร์ (องค์การมหาชน)

URLを見てみるとgLTDで.orgとなっていて非営利団体などによくつけられているものだから、一般の映画会社や企業というわけではなさそう。

で、日曜日に実際に行ってみました。プッタモントンサイ5というバンコク中心地からかなり離れた場所。そして案の定Google Mapで登録されている場所に着いても周りに映画館らしきものがまったく見えない。これ登録場所が間違ってる。またか。。。

で、いろいろ調べ、近所の人に聞いてみたりしながらたどり着いた場所はこちらでした。プッタモントンサイ5の通り沿いにあるのね。

ちょうどこの位置に入口があって、中は映画館が一個あるだけじゃなくてタイの映画に関する博物館にみたいになっている。映画に関する本やグッズ、カフェから博物館本体、そして小さな映画館までが揃っていて土日は毎週オープンしてて博物館が見れたりするみたい。また、月に一回ぐらいはフィルム・フェスティバルみたいなイベントも行ってるみたい。

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サイトを見てみるともともとは映画黎明期のタイの古い映画などを残していく文化保護のためにタイの文化庁みたいなところの肝いりで始まったぽいですな。なので名前がFilm Archiveとなっているようです。

心配していた駐車場も入り口ゲートから続く敷地内の路上に数十台、さらにそれがいっぱいになっても表の道路にそのまま路駐。ガードマンもゲートにいるし、道路は広くて路駐したところで何にも問題になりそうもない環境です。

中のスタッフも見に来る客も、ヴィム・ベンダースというインディペンデント系の映画でさらにバンコク中心地から遠く離れた名も無き小さな映画館ということで非常に少なく、さらには草食系なタイ人が多くて、びーびーわめくガキやいきり立ったDQNもおらず落ち着いて映画を見れました。

映画館は120席しかない小劇場で予約用の60席、ウォークインで60席という構成になっていたのでとりあえず予約したのですが、当日予約は全然通っておらず、上映30分前に席を改めて押さえてもらって、いざ入場の際にチケットに書いてある席の番号を見たら指定した席と全然違ってたというぼんやりミス連発もありましたがなんせタダで見れる「Paris, Texas」。文句は言うまい。

スクリーンも正直そんな大きくはないですが、それでも家のPCやテレビで見るよりかよっぽど大きいし、2000年代に入ってデジタルリマスタリングされた鮮明な色彩が楽しめました。音声は英語、字幕はタイ語と言語的にはアウェーでわからないところも結構ありましたがそれでも外国で映画を見るなんてのはこんなものさと割り切りながら見つつ、正直タイでこんな映画を上映してくれるイベントがあったというのがホント驚きでありました。

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週末はヴィム・ヴェンダース映画祭 2016年02月24日

さっきTwitterにも上げたんですが、今日ランニングにルンピニ公園に出向いてきて走る前にションベンをと思ってトイレに入ったら一枚のリーフレットが置いてあった。

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あ、Wim Wenders。。。タイでこんな名前を見かけることはほとんどないけどなんのフライヤーだろうと思ってみてみたら、なんと今週末ヴェンダースの作品の上映会があるらしい。

ルンピニ公園の便所でヴェンダースの上映会のフライヤーを拾うってのもなんだかなシチュエーションだけどフライヤーのデザインを見てもちょっと行ってみたくなる企画ですな。しかもAdmission Freeってことでタダ!

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しかもこのフライヤーを拾ったまさにその時、25日の18:00にルンピニ公園のオープンエアの上映施設で「ベルリン・天使の詩」も上映してたんだった。。。全然ちゃんと読んでなかった、「Paris, Texas」のほうが気になって気づかなかった。。。

とりあえず字幕とかは当然日本語はなく英語音声でタイ語字幕になりますがヴェンダースの作品をちゃんと銀幕で見られるのは非常にいいことだと思うので「Paris, Texas」の上映は見に行ってきます。

「ベルリン・天使の詩」はルンピニ公園で上映してたが、「Paris, Texas」のほうは見慣れない通りの名前が書かれている。。。いや、よく読むとこれ、プッタモントンて書いてある!バンコク中心地からかなり遠い。。しかもかなり古めかしい映画館らしく、席も120席しかないらしい。予約で60席、ウォークインで60席を用意すると書いてあるが、普通に3日前の今日でもちゃんと予約できました。ヴェンダースの一番有名な作品でこれだから他の作品はガラガラでしょうな。。。

Thai Film Archive หอภาพยนตร์ (องค์การมหาชน)

Sri Salaya Theatre | Bangkok Post: Lifestyle

しかし、僕自身は全然ヴェンダースは詳しくない(だから一番有名な作品の「Paris, Texas」ぐらいしかみたことがない)が、日本では一回DVD販売されて以降全然再発もされてないようなマイナーな初期作品なんかも上映されるみたいでヴェンダース好きな人には作品をちゃんと銀幕で見れるいい機会なんじゃないでしょうか。

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真樹日佐夫先生主演のもやもや、もやもやーとした気分になる「カラテ大戦争」を見た 2016年02月01日

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今回日本から友人の来タイで持ってきてもらったDVDのうちの1枚、真樹日佐夫主演、「カラテ大戦争」を見ました。

いやー真樹日佐夫先生主演の映画ということで期待して見てみましたが、なんともなんとも。実写映画に漫画的な展開の脚本被せるとこうも嘘くさいもんかと唸る次第。フィクションで作り話なんだがドキュメンタリータッチで演出されているのがこれまたなんとも稚拙に見えてしまって。。。同じく持ってきてもらった安藤昇先生主演の「男の顔は履歴書」がドラマとしては非常によく演出され、作りこまれていたのでイマイチ完成度が低い印象を受けてしまいます。。てか「カラテ大戦争」というタイトルの段階でそのような事は悟らないと行けないのか?と自問しながら書いたりしてるのですが。。。

それでも2回見た自分は偉いと思う。1回目テレビのDVDプレイヤーで見ていて横からタイ人の彼女が「何?何?何?この人達??」と実に訝しげな目で聞いてくるので説明に困りました。途中から質問しなくなったなと思ったら寝てた。。。

ジャッキー・チェン以前のアクション映画で早回し演出もなく、ブルース・リーのような動きの俊敏性もなくアクションはイマイチ締りがないし、真樹日佐夫先生の声があまりにドスの効き過ぎたガラガラ声だったために声優が吹き替えたりでいろいろとマイナスポイントが多いが大滝秀治がカラテの師範をやっているという前衛的な配役、70年代の夏樹陽子の美しさ(めっちゃキラキラしとる。全然いま見ても美人だと思えます)、動く白冰冰も始めて見れたのが良かった。

後個人的にはタイ在住という身なんで70年代のタイの風景を見れたのが嬉しかったが今とそう大して違わない印象を受けたのは意外だった。。。

最後のお互いが再起不能になるまで戦い抜く、という展開もなんだかなー、という印象で最後までモヤモヤが残りますが今の日本映画の空気感とは明らかに異なる面白い作品であることは確かであります。一回ぐらいは見ておいたほうが多分見ないよりはいい人生をおくれるような気がします。。。

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Rolling Stones “Shine a light” 2015年11月07日

久しぶりにストーンズを聞く。2008年にリリースされたライブ盤、「Shine a light」。久しぶりに聞くストーンズのライブ演奏の下手さ下限にやっぱりクラクラする。

ストーンズの音楽ってスタジオ版のアルバムでも緻密という言葉の正反対にあるようなざっくりとした音楽だと思うが、ライブ盤になるともう輪をかけてぐっちゃぐちゃのものも多い。このアルバムはもともとはマーティン・スコセッシ監督でストーンズのライブを映画化したものの音だけ盤みたい。

ずっとスマホのステレオスピーカーで聞いてるので音質云々はさっぱりわからんのですが、多分ストーンズだからレコーディングは金かけて録ってるんだから音はいいんだろう。だがその音質の根源の演奏はやっぱりめちゃくちゃでバディ・ガイが出てきた時のギターソロがバックの演奏を置いてけぼりにしつつギターの音だけミックスが異常にでかくて2000年代になってもこんなめちゃくちゃな音をリリースしてるストーンズに敬服致します。(録音は2006年、リリースは2008年)

そして映画のほうはどうもIMAXの劇場で公開されたらしく、このぐっしゃり音をIMAXシアターで聴くのを想像するとなかなかたまらんもんがあります。今更上映してる映画館もないだろうけど、何かのイベントで再上映されるようなことがあればぜひIMAXで見てみたいもんですな。

散々下手くそで音がぐっしゃり、と書いてますが基本的には賛辞でありまして今日はこのアルバムをずっとリピートで聞いております。いいアルバムだと思います。

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