解任 マイケル・ウッドフォード 2012年10月10日

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日本の経営vs外国人社長ってな構図でいろいろ雑誌に書かれていた元オリンパス社長の手記。外国人社長の目から見た日本的経営とか内部告発者の心情とかそのへんの内容を読んでみたくてこれまた楽天koboで購入。

企業買収M&Aで巨額の金額が動いているのに専門家による判断がまったく行われていないなど不透明な部分が多すぎる -> 取締役会の人間全員に問題提起 -> ほぼ無視される -> さらに外部監査などを利用してさらに調査、脇固め -> 取締役会にて社長の解任決議 -> 外部への公表 -> どんどん話が大きくなる -> 実は現経営者がどうのこうのというよりバブル期の有価証券運用で出た巨額損失をずーっと隠し続けていたが、それが会計制度の変更に伴い顕在化することを恐れて会計上企業買収のやりとりの上での損失に見せかけて消しこんでしまおうというスキームだった -> 結局会社の長年の大きなキズを暴いてしまった。。。

という実際に告発して誰が得したのか??というような内容。こういう損失隠しって今回オリンパスで顕在化したけど、大企業ならどこでも規模の大小あれどありあそうな気がする。

日本の株主も海外の株主も株価の下落でいい思いはせず、取締役員は大部分が入れ替わり、銀行もテコ入れを行わなければならず著者もオリンパスを去らなければならず、結果的に全員が損をしている状態じゃないかと。これはちょっと不毛だなあ。

そう考えると、このような会計不正処理を公表するというのは正義にはかなったことだけど、結果としては??が多い。逆に隠し通せたら全員にとって一番良かったということにならないのだろうか?そう考えると今回は隠し通せなかった役員が責任を取り辞任、その役員を承認していた株主もまた被害をかぶったということでしょうか。しかし、事前に十分のその可能性は考えられただろうけど正義に基づいて内部不正を公表した著者も結果的には会社に居られなくなったというのが悲しいところ。やっぱやるからには自分が得をする、というぐらいの方針で最後まで反対派を排除するつもりでやらないといけないんでしょうね。とはいえ、著者にしてみれば海外で言葉の壁もあるなかで、これだけの事をやるエネルギーはすごいなあ。

しかし、いっぱしの株式投資家なんて気分で一生懸命株の勉強なんてしてますが、会社の社長に必要な(経営に必要な)株の知識ってのはまた違うのでしょうね。手記の内容の大体は理解できたが、最後に収録されている著者から他の取締役へ向けて出された書簡の会計の話、M&Aの話は半分も理解できてないです。。。

解任 解任
マイケル・ウッドフォード

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